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会計士試験勉強まとめ

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会社法における監査役の責任と免除・軽減まとめ

2026年5月15日 by super-admin

会社法における監査役の責任は、主に「会社に対する責任」と「第三者に対する責任」の2つに大別されます。それぞれの性質や、責任が軽減される要件について解説します。


1. 監査役の2大責任

監査役が負う法的責任の全体像は以下の通りです。

責任の種類対象(誰に対する責任か)責任が発生する要件免除・軽減の可否
会社に対する責任
(任務懈怠責任 / 423条1項)
会社故意または過失(軽過失を含む)可能
(善意・軽過失の場合のみ)
第三者に対する責任
(429条1項)
株主、債権者、取引先など故意または悪意・重過失一切不可

① 会社に対する責任(任務懈怠責任)

監査役がその任務を怠った(任務懈怠:にんむかいたい)ことにより会社に損害が生じた場合、会社に対して損害賠償責任を負います。過失責任ですが、監査役の側に「過失がなかったこと」の立証責任があります。

  • 主な例: 取締役の違法行為の見過ごし(看過)、監査手続の著しい怠慢、計算書類の虚偽記載の見落としなど。
  • 連帯責任: 取締役の不正によって会社に損害が生じ、監査役も監視を怠っていた場合、取締役と監査役は連帯して賠償責任を負います。

② 第三者に対する責任

職務を行うにあたり、監査役に「悪意または重大な過失(重過失)」があったときは、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負います。

  • 主な例: 監査報告に重要な虚偽記載をした場合、取締役の放漫経営を放置し会社を倒産させ、債権者に損失を与えた場合など。

2. 会社に対する責任の軽減(免除・制限)システム

監査役の賠償責任が非常に高額になるリスクを回避するため、会社法では「善意かつ軽過失」である場合に限り、責任を軽減する手続きが用意されています。

⚠️ 注意: これらの免除・制限規定は、すべて「会社に対する責任」のみが対象です。「第三者に対する責任」には一切適用されません。第三者の損害賠償請求権は個人の固有の権利であるため、会社側の決議や契約で勝手に消滅させることはできないためです。

責任軽減の3つのパターン

事後的に免除する手続きが2つ、事前に契約しておく手続きが1つあります。

① 株主総会の特別決議による免除(会社法第425条)

  • 概要: 損害発生後に、株主総会の特別決議によって一部免除する。
  • 要件: 議決権の過半数が出席し、出席株主の3分の2以上の賛成が必要。取締役が議案を提出するには、監査役(全員)の同意が必要。

② 取締役会決議による免除(会社法第426条)

  • 概要: あらかじめ定款に定めておくことで、事後に取締役会決議によって一部免除する。
  • 要件: 定款に定めがあること、かつ監査役が2名以上いること。決議には監査役(全員)の同意が必要。決議後、株主に通知・公告し、一定期間内に異議が出なかった場合に発効。

③ 責任限定契約(会社法第427条)

  • 概要: 損害が発生する前に、あらかじめ会社と監査役の間で「賠償限度額」を契約しておく。
  • 対象者: 社外監査役(または非業務執行取締役等)に限る。常勤の内勤監査役などは対象外。
  • 要件: 定款に定めがあること。

3. 責任はどこまで軽減されるか(最低責任限度額)

上記の免除・制限手続き(①〜③)を利用する場合でも、責任が完全にゼロになるわけではありません。監査役は法律が定める「最低責任限度額」までは必ず責任を負う必要があります。

監査役の最低責任限度額は、以下の計算式で算出されます。

$$ 最低責任限度額 = 監査役が在職中に得た「年間報酬等の額」 \times 2 $$

【具体例】

  • 社外監査役(年間報酬:JPY 6,000,000)
  • 過失により、会社に JPY 50,000,000 の損害を与えた。
  • 会社と「責任限定契約」を締結していた(または事後に株主総会で一部免除が決議された)場合。
  1. 最低責任限度額の計算:
    JPY 6,000,000 × 2 = JPY 12,000,000
  2. 免除される額:
    JPY 50,000,000 ー JPY 12,000,000 = JPY 38,000,000
  3. 結論:
    この監査役が会社に対して支払う賠償額は、JPY 12,000,000 に軽減されます。

※責任限定契約(③)において、契約書内で「年間報酬の2倍」よりも高い金額を限度額として定めていた場合は、その定めた金額が適用されます(法律の基準を下回る金額を設定することはできません)。


4. 例外:全額免除(責任ゼロ)ができる唯一のケース

一部免除ではなく、会社に対する責任を「完全にゼロ」にできる唯一の方法が「総株主の同意(会社法第424条)」です。

議決権の有無に関わらず、すべての株主全員が「責任を一切不問にする」と同意した場合に限り、最低責任限度額の制限を受けることなく、すべての賠償責任が消滅します。株主がごく少数のオーナー企業などでは現実的ですが、株主が多数存在する公開会社や上場会社では、実質的に不可能です。

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