株式移転においても、法律上は対価として「現金(金銭)」を交付することが認められています。
この場合の債権者保護手続きは、株式交換とは逆に、「現金を交付される株主がいる会社(完全子会社になる会社)」側で必要になります。
1. 完全子会社になる会社:【必要】
- 理由:新設される親会社は、設立時点では自前の資金(現金)を持っていません。そのため、株主に交付される現金は、実質的に「子会社となる会社」が親会社に資金を貸し付ける・拠出するなどして用意することになります。結果として、子会社の財産が流出することになるため、完全子会社になる会社の債権者は異議を述べることができます。
2. 新設される完全親会社:【不要】
- 理由:新しく設立される会社であるため、株式移転の手続きを行う時点では、異議を申し立てるべき既存の債権者がそもそも存在しないからです。
■ 【最終版】組織再編別の要否一覧表(金銭交付を網羅)
株式交換・株式移転で現金(金銭)を交付するケースまで網羅した、完全版の一覧表です。
| 組織再編の形態 | 会社側の立場 | 債権者保護手続きの要否 |
|---|---|---|
| 合併 | 消滅会社 / 存続会社 / 新設会社 | 必要(対価を問わず常に必要) |
| 会社分割 | 分割会社 | 原則必要(分割後も不利益がない場合は不要) |
| 承継会社 / 設立会社 | 必要(対価を問わず常に必要) | |
| 株式交換(原則・株対価) | 完全親会社 / 完全子会社 | 不要 |
| 株式交換(現金対価) | 完全親会社(払う側) | 必要(自社の財産が減少するため) |
| 完全子会社(変わらない側) | 不要 | |
| 株式移転(原則・株対価) | 新設親会社 / 完全子会社 | 不要 |
| 株式移転(現金対価) | 新設親会社(債権者なし) | 不要 |
| 完全子会社(元手となる側) | 必要(実質的に財産が流出するため) | |
| 株式交付 | 株式交付親会社 / 株式交付子会社 | 不要 |