短答式試験(商行為法)の終盤で頻出する「物品運送」と「場屋営業」について、受験生が最も混乱しやすい「売主・経営者がどこまで重い責任を負うのか(免責の要件)」を一覧表にまとめました。
| 分野 | 論点・対象物 | 経営者(運送人・店主)の責任の重さ(免責要件) | 短答式のひっかけ・対策ポイント | 根拠条文 |
|---|---|---|---|---|
| 物品運送 | 💰 高価品 (貨幣・宝石等) | 荷送人が運送委託時にその種類・価額を明告しなかった場合、運送人は一切の責任を免れる。 | 「運送人に(軽)過失があるときは賠償責任を負う」とした選択肢は×。※悪意・重過失がある場合を除き完全に免責されます。 | 商法578条 |
| 物品運送 | ⏳ 責任の時効 | 物品を引き渡した日(または引き渡すべき日)から1年間行使しないと時効消滅。 | 商事時効(5年)の特則として、期間が「1年」と極めて短い点が頻出。 | 商法586条 |
| 場屋営業 | 🧳 客が「預けた」 荷物(寄託物) | 経営者が「不可抗力(天災等)であったこと」を証明しない限り、責任を免れない。 | 「盗難対策を尽くしており、店側に過失がなかったことを証明すれば免責される」は×。無過失に近い激重の責任です。 | 商法594条1項 |
| 場屋営業 | 👜 客が「預けない」 手荷物(携帯品) | 原則は客の自己責任。ただし、店側の過失を「客の側が証明」した場合は、店が責任を負う。 | 預かっていない以上、立証責任が「客の側」にある点がポイント。 | 商法594条2項 |
| 場屋営業 | 💎 高価品 (預けなかった場合) | 客が種類・価額を明告して預けなかった場合、店側は損害賠償責任を負わない。 | ホテルが「貴重品の盗難につき一切責任を負いません」と掲示(免責告示)していても、明告して預かった物への責任は免れません(掲示は無効)。 | 商法594条3項・4項 |
💡 短答式試験での○×チェック(過去問・答練対策)
① 物品運送:高価品の明告義務(過失があっても免責!)
- ❌「荷送人が高価品の運送を委託するにあたり、その種類及び価額を明告しなかった場合、運送中に運送人の過失によって当該物品が滅失したときは、運送人はその損害を賠償する責任を負う。」
- ⭕ 正解(×): 運送人に「重大な過失(重過失)」や「わざと(悪意)」がある場合を除き、単なる過失であれば、明告がない以上、運送人は完全に免責されます。
② 場屋営業:客が預けなかった手荷物の責任
- ❌「旅店(ホテル)の主人は、客が特別に預けなかった携帯品の滅失又は毀損については、ホテル側に過失があったとしても、その損害を賠償する責任を負わない。」
- ⭕ 正解(×): 預けていない携帯品であっても、ホテル側の過失を客側が証明できた場合は、ホテル側は賠償責任を負います(商594条2項)。
③ 💡 一言暗記メモ(責任のグラデーション)
- 運送の高価品: 最初に値段を言わないと、過失で壊されても一切弁償してもらえない。
- 場屋の預かり物: 火山噴火や大地震(不可抗力)でもない限り、店側の責任になる(激重)。
- 場屋の持ち込み物: 原則自己責任。ただし「店のミス(過失)」を客が証明できれば店側の責任。