株主総会を招集する権限(招集権)を持つのは、原則として取締役(または取締役会)です。
しかし、会社の統治形態(コーポレート・ガバナンス)や状況に応じて、決定する機関と実際に手続きを行う担当者が異なります。
ここでは、実務で重要となる「通常の取締役会設置会社(監査役会設置会社など)」と「指名委員会等設置会社」の違いを中心に、分かりやすくまとめました。
1. 監査役会設置会社(通常の取締役会設置会社)
日本国内の多くの構成で見られる形態です。この形態では、「取締役会が決定し、代表取締役が執行(招集)する」という構造になっています。
- 招集事項の決定:取締役会
株主総会の日時、場所、議題などの基本事項は、個々の取締役ではなく「取締役会」の決議によって決定します(会社法298条4項)。取締役会はあくまで意思決定機関であるため、決定のみを行います。 - 実際の招集(執行):代表取締役
取締役会で決まった内容に基づき、実際に株主総会の招集手続き(招集通知の作成・発送など)の業務を執行するのは、代表権を持つ「代表取締役」です。
2. 指名委員会等設置会社(旧:委員会設置会社)
経営の「監督」と「執行」を厳格に分離している形態です。この形態では、株主総会の招集権者が取締役ではなく「執行役(しっこうやく)」になります。
- 招集事項の決定:取締役会
監査役会設置会社と同様に、株主総会の日時や議題などの基本事項を決定するのは「取締役会」です。 - 実際の招集(執行):執行役
取締役会の決定に基づき、実際に株主総会を招集する(招集通知を発送する)のは「執行役(代表執行役など)」です(会社法416条4項)。
※執行役が全員欠けた場合などの例外的なケースを除き、取締役が自ら招集手続きを行うことはありません。
【比較まとめ】決定機関と執行(招集)のプレイヤー
| 会社形態 | 招集事項の決定機関 | 実際の招集手続き(執行) | 会社法上の招集権者 |
|---|---|---|---|
| 監査役会設置会社 (通常の取締役会設置会社) | 取締役会 | 代表取締役 | 取締役 (会社法296条3項) |
| 指名委員会等設置会社 (旧:委員会設置会社) | 取締役会 | 執行役 (代表執行役など) | 執行役 (会社法416条4項) |
「取締役会が決定する」という流れはどちらも共通していますが、実務手続きを行うプレイヤーが「代表取締役」なのか「執行役」なのかという点が大きな違いです。
3. 例外的に招集権が認められるケース
取締役や執行役が正しく機能しない場合、以下の機関・人に例外的な招集権、または招集請求権が認められています。
① 株主による招集(裁判所の許可が必要)
総株主の議決権の3%以上(公開会社の場合は6ヶ月前から引き続き)を保有する株主は、取締役に対して株主総会の招集を請求できます。請求後、遅滞なく招集手続きが行われない場合、株主は裁判所の許可を得て、自ら株主総会を招集できます(会社法297条4項)。
② 監査役による招集(緊急時)
取締役が不正を行う恐れがあり、会社に著しい損害が生じるリスクがある場合、監査役は取締役に株主総会の招集を請求できます。遅滞なく招集通知が発せられないときは、監査役は裁判所の許可を得ることなく、自ら株主総会を招集できます(会社法340条5項、6項)。