結論から言うと、会社法上、株主総会の定足数を完全に排除(ゼロに)することはできません。
ただし、決議の種類(普通決議か特別決議か)によって、定款でどこまで引き下げられるかの限界が異なります。
1. 普通決議の場合(完全排除が可能)
原則として「議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席(定足数:50%超)」が必要ですが、これは定款で別段の定めをすることにより、完全に排除(0%に)することが可能です(会社法309条1項)。
定足数を排除した場合、極端な例ですが「株主が1人しか出席しなくても株主総会が成立する」という運用が可能になります。
2. 特別決議の場合(完全排除は不可)
M&Aや定款変更など、会社にとって重要な決定を行う特別決議については、定足数を完全に排除することはできません。
定款で引き下げる場合でも、最低「3分の1」を残さなければならないと法律で決まっています(会社法309条2項)。つまり、33.34%以上の定足数は絶対に必要であり、これを下回る設定や完全排除の定めは無効となります。
3. 特殊決議の場合(排除・緩和は不可)
さらに要件が厳しい特殊決議(非公開会社が株主ごとに異なる権利を与える定款変更など)においては、定足数という概念ではなく「総株主の半数以上」かつ「総株主の議決権の3分の2以上」といった、頭数と議決権をベースにした絶対的な賛成要件が課されます(会社法309条3項・4項)。そのため、出席者をベースにする定足数の排除という議論自体が成り立ちません。
まとめ(引き下げの限界一覧)
| 決議の種類 | 原則の定足数 | 定款による引き下げの限界 |
|---|---|---|
| 普通決議 | 過半数(50%超) | 完全に排除可能(0%までOK) |
| 特別決議 | 過半数(50%超) | 3分の1(約33.34%)まで。完全排除は不可 |
| 特殊決議 | 定足数ではなく絶対要件 | 排除・緩和不可(一律固定) |
⚠️ 重要な注意点(役員選任・解任の特例)
普通決議の定足数を完全に排除している会社であっても、役員(取締役・監査役など)の選任・解任決議については、定款で引き下げる場合でも3分の1以上の定足数が必要となります(会社法341条)。ここも完全排除はできない例外ポイントです。