実務や法律上の手続きにおいて、非常に間違いやすいポイントですので整理して覚えておきましょう。
株式分割・併合時の挙動まとめ(一覧表)
| 項目 | 株式分割(例:1株→2株) | 株式併合(例:2株→1株) |
|---|---|---|
| 発行済株式総数 | 自動で2倍になる(法律上当然) | 自動で半分になる(法律上当然) |
| 発行可能株式総数 | 自動では変わらない (取締役会決議で拡大可能) | 自動では変わらない (株主総会決議で縮小が必要) |
1. 株式分割の場合
【具体例:1株を2株に分割】
- 発行済株式総数: 1,000株 ⇒ 2,000株に自動変更
- 発行可能株式総数: 4,000株 ⇒ 自動では変わらない(4,000株のまま)
実務上の注意点と救済措置
自動で変わらないため、大幅な分割を行うと「発行済株式数」が上限である「発行可能株式総数」を突き抜けてしまうリスクがあります。
原則として、発行可能株式総数を増やす(定款を変更する)には「株主総会の特別決議」が必要ですが、株式分割の際には以下の特例(救済措置)が設けられています。
- 取締役会決議のみで枠を広げられる(会社法184条2項)
単一種類の株式しか発行していない会社であれば、「分割比率(例:2倍)の範囲内」において、株主総会を開くことなく、取締役会(または取締役の過半数)の決議だけで発行可能株式総数を増やす定款変更が可能です。
2. 株式併合の場合
【具体例:2株を1株に併合】
- 発行済株式総数: 1,000株 ⇒ 500株に自動変更
- 発行可能株式総数: 4,000株 ⇒ 自動では変わらない(4,000株のまま)
実務上の注意点(公開会社の4倍ルール)
株式併合を行うと、発行済株式数が減るため、上限枠(発行可能株式総数)との比率が広がります。
ここで問題になるのが、公開会社に適用される「4倍ルール(発行可能株式総数は、発行済株式総数の4倍を超えてはならない)」です。上記の例のままだと「500株 vs 4,000株」となり、8倍の開きができてしまうため法律違反になります。
- 株主総会の特別決議が必須(会社法180条2項4号)
株式併合を行う際は、必ず株主総会で「併合後の発行可能株式総数」を同時に定めておく必要があります。 - みなし定款変更(会社法182条2項)
株主総会であらかじめ決議しておくことで、併合の効力発生日に自動的にその数へと定款が書き換わったものとみなされます。
共通の注意点:どちらも「登記」は必要
法律上の効力として「発行済株式総数」が自動で変わるとしても、法務局への変更登記申請は自動ではされません。
株式分割・株式併合の効力が発生した日から「2週間以内」に、管轄の法務局へ変更登記を申請する義務がありますので、実務上は忘れないよう注意が必要です。