商法(商行為法)に登場する、他人のビジネスをサポート・仲介する主要な商人たちの違いをまとめた比較表です。
| 商人の区分 | 契約時の名義 (誰の名前で?) | 取引の計算 (誰のサイフで?) | 顧客との関係性 (継続か単発か) | ライバル(複数ボス)の掛け持ち | 主な役割・具体例 |
|---|---|---|---|---|---|
| 代理商 (商法46条〜) | 本人(ボス) の名義 | 本人の計算 | 継続的 (特定の商人のため) | 原則NG (本人の許諾があれば例外的にOK) | ボスの身代わりとして契約・仲介を行う。 ※例:保険代理店、自動車ディーラー |
| 仲立人 (商法543条〜) | 契約当事者たちの名義 | 契約当事者たちの計算 | 単発的 (不特定多数の間) | OK (特定のボスに縛られない) | 当事者間の引き合わせ(キューピッド役)に徹する。 ※例:不動産仲介、M&Aアドバイザー |
| 取次商(問屋) (商法551条〜) | 自分(問屋) の名義 | 本人(依頼者)の計算 | 不特定多数 (単発・継続問わず) | OK (特定のボスに縛られない) | 自分の名前で表舞台に立ち、他人のために売買を行う。 ※例:証券会社、美術品オークション |
| 運送取扱人 (商法559条〜) | 自分(取扱人) の名義 | 本人(荷主)の計算 | 不特定多数 (単発・継続問わず) | OK (取次商の規定を準用) | 物品の「運送の手配・ルート構築」を代行する。 ※例:フォワーダー(国際総合物流業者) |
| 運送人 (商法569条〜) | 契約当事者たちの名義 | 自分(運送人) の計算 | 不特定多数 (単発・継続問わず) | OK (依頼された運送業務を遂行) | 自社の輸送手段で「実際の運送行為」を行う。 ※例:トラック運送会社、航空会社、船会社 |
各制度を見分ける3つのチェックポイント
① 代理商 vs 取次商(問屋)の「名義」の違い
どちらも他人のビジネス(計算)のために動きますが、契約書にサインする名前が異なります。
- 代理商: ボスの名前でサインする(「〇〇会社 代理人 ▲▲」)。
- 取次商: 自分の名前でサインする(裏で依頼者とつながっていることは相手方に明かさない)。
② 運送取扱人 vs 運送人の「行為」の違い
- 運送取扱人: 自分で荷物は運ばない。最適なルートと運送会社を「手配」する(取次契約)。
- 運送人: 自社のトラックや船を使い、物理的に荷物を「運ぶ」(運送契約)。
③ 代理商の「競業避止義務」
代理商だけは特定のボスと「継続的」に繋がるため、ボスの営業秘密を守る義務(商法第48条)があります。そのため、ジャンルが異なる複数ボスはOKですが、同業ライバルの複数ボス(掛け持ち)は本人の許可がない限り禁止されています。