会社法では、多数決による横暴から株主を守るため、以下の事項については「総株主の同意」を必要としています。
1. 取締役・監査役等の責任の免除
取締役、会計参与、監査役、執行役または会計監査人が会社に損害を与えた場合の賠償責任を、「全額免除」する場合です(会社法424条)。
※一部免除(最低責任限度額までの免除)であれば、定款の定めに基づき取締役会決議や株主総会特別決議で行えますが、全額免除は全員の同意が必須です。
2. 組織変更(株式会社から持分会社への転換)
株式会社を解散し、合同会社、合名会社、合資会社へ組織変更する場合です(会社法776条1項)。
- 理由: 株式会社では株主は「有限責任」ですが、持分会社(特に合名・合資)に変わると、株主が「無限責任」を負うリスクが生じるため、一人一人の承諾が必要になります。
3. 全ての株式への「全部取得条項」の付与
発行している全ての株式の内容を、会社が株主の同意なく強制的に取得できる「全部取得条項付種類株式」に変更する定款変更を行う場合です(会社法110条)。
- 理由: 株主から強制的に株を取り上げる準備にあたるため、財産権の保護の観点から全員の同意が求められます。
4. 吸収合併・株式交換等における「対価」の割当て
組織再編(合併や株式交換)において、消滅会社の株主に対して、持分会社の持分(合同会社の社員権など)を割り当てる場合です(会社法783条2項、795条1項)。
- 理由: これも上記2と同様に、勝手に無限責任や重い責任を負わされるのを防ぐためです。
種類株主全員の同意 vs 総株主全員の同意
混同しやすいですが、以下の違いがあります。
- 種類株主全員の同意: 「ある特定の種類の株主」だけが影響を受ける場合、そのグループ全員が賛成すればOK。
- 総株主全員の同意: 「会社にいる全ての株主」が一人残らず賛成しなければならない。
実務上、1名でも反対株主や連絡が取れない株主がいる場合、これらの手続きを進めることは事実上不可能となります。