組織再編(合併や会社分割など)が行われる際、それに反対する株主には、自分の持っている株式を「公正な価格」で買い取るよう会社に請求できる権利(反対株主の株式買取請求権)が認められています。
以下に、買取請求ができる主なケースと、例外として認められないケースを整理します。
1. 株式買取請求ができる主なケース
以下の組織再編等が行われる場合、原則として反対株主は買取請求が可能です。
| カテゴリ | 対象となる手続き | 請求できる株主 |
|---|---|---|
| 合併 | 吸収合併・新設合併 | 消滅会社・存続会社(新設会社)の全株主 |
| 株式交換・移転 | 株式交換・株式移転 | 完全子会社化される側・完全親会社となる側の全株主 |
| 会社分割 | 吸収分割・新設分割 | 分割会社・承継会社の株主(※分割会社は条件あり) |
| 事業譲渡等 | 事業の全部譲渡・重要な一部譲渡 | 譲渡を行う側の会社の株主 |
| 事業譲り受け | 他の会社の事業全部の譲り受け | 譲り受ける側の会社の株主 |
| 株式交付 | 株式交付(2021年新設) | 親会社(交付分析会社)となる側の株主 |
2. 株式買取請求が「できない」例外ケース
実務上、以下の簡略化された手続き(略式・簡易)においては、一部の株主の買取請求権が制限されます。
① 簡易組織再編(簡易手続)
存続会社や承継会社が支払う対価が、その会社の純資産額の20%以下である場合、規模が小さいため株主総会の決議を省略できます。
- 請求不可: 存続側(親会社・承継会社など)の株主。
② 略式組織再編(略式手続)
一方が他方の議決権の90%以上(特別支配会社)を保有している場合、支配されている側の株主総会を省略できます。
- 請求不可: 支配している側(特別支配会社=親会社)の株主。
- 注意: 支配されている側(子会社)の少数株主には、依然として買取請求権が認められます。
3. 手続きの流れ(スケジュール)
反対株主が権利を行使するためには、以下のステップを踏む必要があります。
- 反対通知: 株主総会前に、会社に対して「本再編に反対である」旨をあらかじめ通知する。
- 反対決議: 当該株主総会において、反対票を投じる。
- 買取請求: 組織再編の効力発生日の20日前から前日までの間に、具体的な請求を行う。
まとめ
組織再編は、株主にとって投資環境が激変するイベントです。会社法は、「簡易手続」や「特別支配会社による略式手続」において、手続きの迅速化を優先しつつも、少数株主の経済的利益を守るためにこの買取請求権を設計しています。