株式交付は、2021年の会社法改正により導入された比較的新しいM&Aの手法です。特定の会社を子会社にするために、自社株を対価として相手方の株主から株式を譲り受ける手続きを指します。
1. 株式交付の主な特徴
- 過半数の支配でOK: 株式交換とは異なり、100%子会社にする必要はありません。51%などの支配権獲得を目的とする場合でも利用可能です。
- 自社株を対価にできる: 買収資金として多額の現金を準備しなくても、自社の新株を発行して対価に充てることができます。
- 親会社の株主総会が必要: 原則として、親会社側で株主総会の特別決議が必要になります。
2. 株式交付と株式交換の比較
| 比較項目 | 株式交付 | 株式交換 |
|---|---|---|
| 支配の程度 | 子会社化(50%超など) | 完全子会社化(100%) |
| 親会社の決議 | 必要(特別決議) | 必要(特別決議) |
| 子会社の決議 | 不要(個々の株主の判断) | 必要(会社として決定) |
| 反対株主の買取請求 | 親会社の株主のみ発生 | 双方の株主に発生 |
3. 実務上のポイント
株式交付は、上場企業がスタートアップ企業をグループ傘下に収める際や、段階的に買収を進めたい場合に非常に有効なツールです。
特に子会社側の株主にとって、税制上の「課税繰り延べ」が適用される点(自社株が対価の大部分を占める場合)が大きなインセンティブとなります。
まとめ
「完全子会社にしたいなら株式交換」、「まずは過半数を確保してグループ化したいなら株式交付」という使い分けが、組織再編実務の基本となります。