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会計士試験勉強まとめ

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会社法における各種の訴え

2026年5月15日 by super-admin

会社法における各種の訴えは、会社の組織や根幹に関わる重大な事象について、手続きの瑕疵や違法性を是正するために特別に認められた法的手段です。

これらは、民法の一般原則(当事者間のみでいつでも無効を主張できる)とは異なり、「提訴権者の限定」「提訴期間の制限」「対世効(全員に判決の効力が及ぶ)」といった厳格な特則が設けられています。

以下に、実務上および試験対策上重要となる各種の訴えの条件を一覧で整理しました。


1. 組織法上の訴え(会社組織に関する訴え)

会社法第828条等に規定される、会社の根幹に関わる行為の無効や取消しを求める訴えです。取引の安全を守るため、提訴期間が極めて短く設定されているのが特徴です。

① 設立・決議に関する訴え

訴えの種類提訴権者(原告)提訴期間(出訴期間)備考・主な事由
設立無効の訴え
(828条1項1号)
株主等、清算人、破産管財人、設立に不服のある発起人・設立時取締役等会社成立の日から2年以内
(持分会社は債権者も可)
設立手続きにおける重大な法令・定款違反(例:定款の絶対的記載事項の欠落など)。
設立取消しの訴え
(832条)
取消権を有する株主等(詐欺・強迫・制限能力を理由とする者)、債権者(詐害行為を理由とする者)会社成立の日から2年以内主に持分会社で実務上機能する。株主が騙されて出資した場合など。
株主総会等決議取消しの訴え
(831条1項)
株主等、取締役、監査役、執行役、清算人決議の日から3ヶ月以内【実務上最重要】
① 招集・決議方法の法令・定款違反、または著しく不当
② 決議内容の定款違反
③ 特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議
株主総会等決議無効確認の訴え
(830条2項)
法律上の利益を有する者であれば誰でも制限なし(いつでも可)決議の内容が「法令」に違反する場合(例:株主平等原則への著しい違反など)。
株主総会等決議不存在確認の訴え
(830条1項)
法律上の利益を有する者であれば誰でも制限なし(いつでも可)決議の手続きがそもそも存在しないレベルの瑕疵(例:議事録の完全な偽造、架空の総会など)。

② 資金調達・資本減少に関する訴え

訴えの種類提訴権者(原告)提訴期間(出訴期間)備考・主な事由
新株発行無効の訴え
(828条1項2号)
株主等、取締役、監査役、執行役、清算人効力発生の日から6ヶ月以内
(非公開会社は1年以内)
引受人の不公正、取締役会決議の欠如など重大な瑕疵。判決に遡及効はなく「将来効」となる。
自己株式の処分無効の訴え
(828条1項3号)
株主等、取締役、監査役、執行役、清算人効力発生の日から6ヶ月以内
(非公開会社は1年以内)
新株発行無効の訴えとほぼ同様の枠組み。
新株予約権発行無効の訴え
(828条1項4号)
株主等、取締役、監査役、執行役、清算人、新株予約権者効力発生の日から6ヶ月以内
(非公開会社は1年以内)
新株予約権の発行手続き等に重大な法令・定款違反がある場合。
新株発行等の非存在確認の訴え法律上の利益を有する者制限なし(いつでも可)代表取締役すら関与せず、平社員が勝手に社印を偽造して株券を発行したような極限的なケース。
資本金の額の減少無効の訴え
(828条1項5号)
株主等、取締役、監査役、執行役、清算人、債権者効力発生の日から6ヶ月以内減資における債権者保護手続き(官報公告や個別の催告)を完全に怠った場合などに提起される。

③ 組織再編(M&A)に関する訴え

以下の組織再編手続きに重大な瑕疵(手続き違反や不公正)がある場合、その行為全体の無効を求めます。

  • 対象となる行為:吸収合併、新設合併、吸収分割、新設分割、株式交換、株式移転、株式交付、組織変更
訴えの種類提訴権者(原告)提訴期間(出訴期間)備考・主な事由
組織再編無効の訴え
(828条1項6号〜13号)
各会社の株主等、取締役、監査役、執行役、清算人、債権者・吸収分割等における労働者効力発生の日(または新設設立の日)から6ヶ月以内株主総会の特別決議を欠いている、債権者保護手続きに重大な違反がある、などの事由。

2. 役員の責任・地位に関する訴え

会社の経営陣(取締役・監査役など)の責任を追及したり、その地位を剥奪したりするための訴えです。

訴えの種類提訴権者(原告)提訴期間(出訴期間)備考・主な事由
株主代表訴訟
(847条)
6ヶ月前から引き続き株式を有する株主
(非公開会社は保有期間制限なし)
制限なし
(ただし役員の責任は原則10年で時効消滅)
役員が任務を怠り(任務懈怠)、会社に損害を与えたにもかかわらず、会社が自ら責任追及しない場合に、株主が会社に代わって起こす。
役員等解任の訴え
(854条)
総株主の議決権の3%(または発行済株式の3%)以上を6ヶ月前から引き続き有する株主株主総会で解任決議が否決された(または拒否された)日から3ヶ月以内役員の職務執行に不正の行為や重大な法令・定款違反があるにもかかわらず、総会で解任が否決された場合に、裁判所に解任を求める。
取締役等の地位不存在確認の訴え法律上の利益を有する者制限なし(いつでも可)選任決議の不存在や無効を前提として、「現在の特定の人物が取締役の地位にないこと」の確認を求める一般民事訴訟。

3. その他の特定の訴え

訴えの種類提訴権者(原告)提訴期間(出訴期間)備考・主な事由
会社解散の訴え
(833条)
総株主の議決権の10%以上、または発行済株式の10%以上を有する株主制限なし(いつでも可)会社が業務執行において著しい苦境に陥り、回復できない損害が生じる(またはそのおそれがある)など、デッドロック状態にある場合。
株主名義書換請求の訴え株式を取得した者(譲受人)制限なし(いつでも可)会社が正当な理由なく株主名簿の書き換え(名義書換)に応じない場合に、裁判を通じて請求する。
新株発行等差止請求の訴え
(210条等)
株主新株発行等の効力発生前まで法令・定款違反や著しく不公正な方法による新株発行等がなされようとしている場合に、事前にその行為の「差止め」を求める(実務上は仮処分を申し立てる)。

💡 実務上のポイント:なぜ「当然に無効」なケースでも裁判をするのか?

理論上、「株主総会決議の不存在」や「極限的な無効事由(非存在)」は、裁判を起こさなくても最初から効力を持ちません(当然に無効)。

しかし実務上は、当事者間で「有効だ」「無効だ」と言い分が食い違うため、争いは終わりません。 また、法務局(登記所)も裁判所の判決書など客観的な証拠がない限り、勝手に登記を元に戻してくれません。

そのため、会社法では期限の制限がない「不存在確認の訴え」などをわざわざ用意しており、実務的には「いつでも裁判を起こして、公的なお墨付き(判決)をもらうことで決着をつける」という運用がなされています。

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