清算会社とは
清算会社(清算株式会社)とは、解散した株式会社が、その法人格を消滅させるまでの間、財産関係を後始末するために存続する状態の会社をいう。会社は解散しても直ちに消滅するわけではなく、清算手続を完了して初めて消滅する(会社法476条)。
清算の開始原因
清算は会社の解散によって始まる。主な解散事由は次のとおり。
- 定款で定めた存続期間の満了
- 定款で定めた解散事由の発生
- 株主総会の特別決議
- 合併による消滅
- 破産手続開始決定
- 解散命令・解散判決
このうち、合併で消滅する場合と破産による場合は清算手続をとらない。それ以外の解散事由が生じたときに清算が開始される。
清算会社の能力(権利能力の範囲)
清算株式会社は「清算の目的の範囲内」においてのみ存続し、新たな営業活動はできない(会社法476条)。できるのは以下の後始末業務に限られる。
- 現務の結了
- 債権の取立てと債務の弁済
- 残余財産の分配
機関の変化
- 取締役は退任し、代わって清算人が業務を執行する(会社法477条以下)。
- 清算人は原則として従前の取締役がなるが、定款の定め・株主総会の決議・裁判所の選任による場合もある。
- 株主総会は存続するが、取締役会は設置できなくなる。
- 監査役は原則として存続する。
清算手続の流れ
- 清算人が就任する。
- 財産目録・貸借対照表を作成し、株主総会の承認を得る。
- 債権者に対し、一定期間(2か月以上)内に債権を申し出るよう官報で公告し、知れている債権者には個別に催告する(会社法499条)。
- 債権の取立てと債務の弁済を行う。
- 残余財産があれば株主に分配する。
- 決算報告を作成し、株主総会の承認を受ける。これにより清算が結了し、法人格が消滅する。
なお、債務超過の疑いがある場合には、裁判所の監督下で進められる特別清算の手続が用意されている(会社法510条以下)。
残余財産の分配は誰が決めるか
- 分配の実行・内容の決定は清算人(清算人会設置会社では清算人会)が行う(会社法481条3号、504条)。
- 残余財産の分配は、原則として株主総会の決議を必要としない。
- 分配は株主の有する株式の数に応じて行うのが原則(株式平等の原則、会社法504条3項)。ただし残余財産の分配に関する種類株式があれば、その定めに従う(会社法108条1項2号)。
- 分配の前提として、債務の弁済が完了している(または弁済に必要な財産を留保している)ことが必要(会社法502条)。債権者保護が優先される。
組織再編の制限
清算株式会社は「清算の目的の範囲内」でのみ存続するため、一定の組織再編が制限される。
できない行為(承継・取得する側にはなれない)
- 吸収合併存続会社・新設合併設立会社
- 吸収分割承継会社・新設分割設立会社
- 株式交換・株式移転の完全親会社
できる行為(消滅・分割する側にはなれる)
- 吸収合併消滅会社・新設合併消滅会社
- 吸収分割会社・新設分割会社
その他の制限
- 剰余金の配当はできない。
- 自己株式の有償取得も原則としてできない。
会社の継続
清算結了前であれば、株主総会の特別決議によって会社を継続できる場合がある(会社法473条)。継続すれば清算状態を脱し、組織再編の制限も外れる。ただし、合併や破産による解散など、継続が認められない解散事由もある。
登記
清算手続の各段階で登記が必要となる。
- 解散の登記:解散の日から2週間以内(本店所在地)(会社法926条)。
- 清算人の登記:就任後2週間以内(会社法928条)。途中で清算人・代表清算人が変わった場合は変更登記が必要。
- 清算結了の登記:決算報告の承認の日から2週間以内(本店所在地)(会社法929条1号)。この登記により登記簿は閉鎖される。
なお、清算結了の登記は法人格消滅の効力要件ではなく、公示のための手続と解されている。法人格の消滅自体は清算事務の終了(決算報告の承認)によって生じる。