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会計士試験勉強まとめ

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指名委員会等設置会社における「執行役」とは?

2026年5月17日 by super-admin

執行役(しっこうやく)は、指名委員会等設置会社にのみ置かれる、業務執行のトップ(経営責任者)です。
一般的な会社(取締役会設置会社)の「代表取締役」や「取締役」とは役割や位置づけが大きく異なります。


1. 執行役の基本概要

指名委員会等設置会社では、「監督と執行の分離」が徹底されています。

  • 取締役・取締役会: 実際のビジネスには口を出さず、経営方針の決定と、執行役の「監督」に専念する。
  • 執行役: 取締役会から大幅に委譲された権限をもとに、スピーディーにビジネスを「執行」する。

所有と経営、さらに「監督と実行」を分けることで、ガバナンス(企業統治)を強化しつつ、迅速な意思決定を行うために置かれるポジションです。


2. 執行役の選任機関と選任期間(任期)

取締役や監査役と異なり、株主総会ではなく取締役会によって選ばれるのが特徴です。

  • 選任機関:取締役会
    • 取締役会が決議によって執行役を選任します(会社法402条)。
  • 選任期間(任期):原則1年
    • 選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結後、最初に行われる取締役会の終結の時まで。
    • 定款でこれより短縮することは可能ですが、伸ばす(伸長する)ことはできません。

3. 代表執行役と取締役との兼任

  • 代表執行役:
    • 執行役が複数いる場合、取締役会はその中から会社を代表する「代表執行役」を選任しなければなりません(1人の場合はその人が自動的に代表執行役となります)。一般的な会社の「代表取締役社長」に相当します。
  • 取締役との兼任:
    • 原則として兼任は可能です。社内のエース級の取締役が執行役を兼任するケースは多く見られます。
    • ただし、執行役をチェックする立場である「監査委員」だけは、執行役を兼任することができません(会社法400条4項)。

4. 違いの整理:「執行役」vs「執行役員」

実務で最も混同しやすい、法律上の役員である「執行役」と、自主導入される「執行役員」の違いです。

項目執行役(しっこうやく)執行役員(しっこうやくいん)
法的根拠会社法上の「役員」(法的地位あり)会社法上の役員ではない(単なる社内称)
設置できる会社指名委員会等設置会社のみ(必須)どんな会社でも自由に設置可能
選任する機関取締役会取締役会(または社長の判断など)
契約の性質会社との委任契約多くは会社との雇用契約(従業員トップ)
商業登記登記簿に氏名が登記される登記はされない

実務上のポイント

  • 執行役は、代表取締役と同等レベルの強い法的権限と責任を持つ「経営幹部」です。
  • 執行役員は、部長や事業部長の延長線上にある、実務をスムーズに回すための「従業員の肩書き」に過ぎません。

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指名委員会等設置会社と監査等委員会設置会社の比較(任期・選任機関)

2026年5月17日 by super-admin

会社法における指名委員会等設置会社と監査等委員会設置会社では、各委員(取締役)の「選任期間(任期)」および「選任機関(どこが選ぶのか)」に以下のような違いがあります。


1. 指名委員会等設置会社

経営の「監督」と「執行」を完全に分離しているため、取締役の任期は短く設定されており、委員の選定は取締役会が行います。

  • 取締役(各委員のベース)
    • 選任期間(任期): 原則1年(定款でさらに短縮可能、伸長は不可)
    • 選任機関: 株主総会(ただし、株主総会に提出する選任案は「指名委員会」が決定します)
  • 各委員(指名・監査・報酬委員会)
    • 選任期間(任期): 取締役の任期満了(1年)に伴い自動的に終了
    • 選任機関: 取締役会(株主総会で選ばれた取締役の中から、取締役会決議によって選定されます)

2. 監査等委員会設置会社

監査等委員である取締役の独立性を高めるため、他の取締役とは「選任期間(任期)」も「株主総会での議案(選任機関)」も明確に区別されます。

  • 監査等委員である取締役
    • 選任期間(任期): 2年(定款による短縮も伸長も不可の強制規定)
    • 選任機関: 株主総会(他の取締役とは別議案として決議)
  • 監査等委員以外の取締役
    • 選任期間(任期): 原則1年(定款でさらに短縮可能、伸長は不可)
    • 選任機関: 株主総会(通常の取締役選任決議)

3. 比較まとめ表

機関設計対象・役職選任期間(原則任期)最終的な選任機関
指名委員会等設置会社取締役1年(短縮可・伸長不可)株主総会
各委員(指名/監査/報酬)取締役の任期に連動取締役会
監査等委員会設置会社監査等委員である取締役2年(短縮不可・伸長不可)株主総会(※別議案)
監査等委員以外の取締役1年(短縮可・伸長不可)株主総会

実務上のポイント

  • 指名委員会等設置会社は、すべての取締役が1年ごとに株主の信任を受け、その中から取締役会が各委員を割り当てます。
  • 監査等委員会設置会社は、監査の独立性を担保するために監査等委員の任期を2年に固定し、株主総会の段階から他の取締役とは完全に枠を分けて直接選出します。

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公認会計士試験 短答式・企業法|親子会社間における機関の兼任関係

2026年5月17日 by super-admin

はじめに

会社法の兼任制限は条文が機関ごとに分散しており、整理しづらい論点です。本記事では、親会社・子会社間における機関の兼任可否について、条文の趣旨から体系的に整理します。

大前提:なぜ兼任が制限されるのか

兼任制限の趣旨は 「監査の実効性確保(自己監査の防止)」 にあります。したがって、監査される側(業務執行者)と監査する側(監査機関)の兼任が禁止される、と理解すれば全体像が見えてきます。

逆に、業務執行者同士(取締役と取締役など)の兼任は会社法上は原則自由です(競業避止義務・利益相反の問題は別途)。

兼任制限の基本ルール(単体会社内)

まず単体会社における原則を押さえます。

監査役(335条2項)
監査役は、当該会社・子会社の取締役・支配人その他の使用人、または当該子会社の会計参与・執行役を兼任できない。

監査等委員(331条3項)
監査等委員である取締役は、当該会社・子会社の業務執行取締役・支配人その他の使用人、当該子会社の会計参与・執行役を兼任できない。

監査委員(400条4項)
指名委員会等設置会社の監査委員は、当該会社・子会社の執行役・業務執行取締役・支配人その他の使用人、当該子会社の会計参与を兼任できない。

会計参与(333条3項)
会計参与は、当該会社・子会社の取締役・監査役・執行役・支配人その他の使用人を兼任できない(そもそも公認会計士・税理士等に限られる)。

親子会社の視点で整理

条文を「親会社の機関 ⇔ 子会社の機関」の表に組み替えます。子会社側の業務執行者は親会社の監査機関になれない、というのが核です。

親会社の機関子会社の取締役(業務執行)子会社の使用人・支配人子会社の会計参与子会社の監査役子会社の執行役
親会社の取締役○○✕(333条3項)○○
親会社の監査役✕(335条2項)✕(335条2項)✕(335条2項)○✕(335条2項)
親会社の監査等委員✕(331条3項)✕(331条3項)✕(331条3項)○✕(331条3項)
親会社の監査委員✕(400条4項)✕(400条4項)✕(400条4項)○✕(400条4項)
親会社の会計参与✕(333条3項)✕(333条3項)—✕(333条3項)✕(333条3項)

重要な「非対称性」

試験で狙われやすい盲点を3つ挙げます。

第一に、条文は「親会社の監査機関」が「子会社の業務執行者」を兼任することを禁じているだけで、逆方向(子会社の監査役が親会社の取締役を兼任する)は条文上明文では禁止されていません。 条文構造としては一方向の規制であることを意識してください。

第二に、監査役同士(親会社監査役 ⇔ 子会社監査役)の兼任は禁止されていません。 監査機関同士なので自己監査の問題が生じないからです。同様に、親会社取締役と子会社取締役の兼任も会社法上は禁止されていません(実務上はガバナンス上の問題はありますが、条文レベルでは○)。

第三に、社外性要件は兼任制限とは別論点です。 社外取締役・社外監査役の要件(2条15号・16号)では、現在および過去10年以内に親会社等の業務執行者でないこと等が求められます。「兼任可否」と「社外性の充足」は別の問いなので混同しないでください。

子会社の監査人が親会社の業務執行ラインを兼任できるか

結論

条文上は明文で禁止されていません。 つまり、子会社の監査役が親会社の取締役を兼任すること自体は、会社法335条2項等の文言からは直接導けません。

335条2項をもう一度読むと:

監査役は、その会社又はその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人…を兼ねることができない。

主語は「監査役」、目的語は「その会社又はその子会社の業務執行者」です。「子会社の監査役」を主語にした規定にはなっていません。 331条3項(監査等委員)も400条4項(監査委員)も同じ構造です。

なぜ条文はこの方向しか規制しないのか

会社法の兼任規制は、「その監査役が監査すべき対象を、その監査役自身が業務執行していないか」 という視点で組まれています。

  • 親会社監査役は、親会社の計算書類監査の一環として子会社調査権(381条3項) を持つ。だから子会社の業務執行者を兼ねると自己監査になる → 禁止
  • 一方、子会社監査役は、親会社を監査する権限を持たない。だから親会社の取締役を兼ねても、形式的には自己監査にならない → 条文は規制していない

条文の射程は「自分が監査する範囲」に限定されている、ということです。

実質的な歯止め

条文上は可能でも、実務上・他の規制で塞がれることがほとんどです。

  • 親会社の社外取締役・社外監査役になるには、子会社の業務執行者でないことが要件(2条15号・16号)
  • 子会社の監査役は通常「業務執行者」ではないため、ここはクリアできる可能性がある
  • ただし、グループ内ガバナンスの観点から実務上は採用されにくい

覚え方のコア

ひとことで言うと、

「親会社側の監査人(監査役・監査等委員・監査委員・会計参与)は、子会社の業務執行ライン(取締役・執行役・使用人・会計参与)になれない」

これだけ覚えれば、335条2項・331条3項・400条4項・333条3項は同じ趣旨の条文が機関ごとに置かれているだけだとわかります。

短答で迷ったら、「監査する人が監査される側を兼ねていないか?」 という一点に戻れば判断できます。

試験対策としての判断ステップ

短答で問われたときの判断手順:

  1. 条文の主語が誰で、目的語が誰かを確認する
  2. 335条2項・331条3項・400条4項・333条3項は、いずれも 「監査機関(主語) → 自社または自社の子会社の業務執行者(目的語)」 の一方向規制
  3. 「子会社の監査役 → 親会社の取締役」は、この型に当てはまらないので、条文上は兼任可能
  4. ただし 「親会社の監査役 → 子会社の取締役」は明確に禁止

肢として「子会社の監査役は親会社の取締役を兼任することができない」のような断定が出てきたら、× が正解になります。逆方向の335条2項を子会社側に拡張適用しようとする誤りを誘う典型的なひっかけです。

まとめ

親子会社間の兼任規制は、条文を機関ごとにバラバラに覚えるのではなく、「監査機能と業務執行機能の分離」 という統一的視点で押さえることが重要です。条文の主語と目的語を意識し、規制が一方向であることを理解すれば、複雑に見える条文群もシンプルに整理できます。

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取締役などの責任限度額など

2026年5月17日 by super-admin

比較項目① 株主総会の特別決議(425条)② 定款の定め+取締役会決議(426条)③ 責任限定契約(427条)
会社法の条文会社法第425条(事後免除)会社法第426条(事後免除)会社法第427条(事前契約)
前提条件善意かつ無重過失であること
(悪意や重過失がある場合は免除不可)
善意かつ無重過失であること
(悪意や重過失がある場合は免除不可)
善意かつ無重過失であること
(悪意や重過失がある場合は限定不可)
対象となる役員すべての役員等
(代表取締役、業務執行取締役を含む)
すべての役員等
(代表取締役、業務執行取締役を含む)
非業務執行取締役、監査役、会計監査人など
(※代表取締役・業務執行取締役は対象外)
手続きのタイミング損害発生・責任確定の事後定款規定は事前、免除決議は事後定款規定・契約締結ともに事前
事前の定款変更不要必要
(株主総会の特別決議で導入)
必要
(株主総会の特別決議で導入)
免除の決定機関株主総会(特別決議)取締役会(または取締役の過半数)不要(契約に基づき自動的に限定)
監査役等の同意必要(総会への議案提出時)必要(定款変更時、および取締役会決議時)必要(定款変更時)
株主による異議申立なし(総会決議を経るため)あり
(総株主の議決権の3%以上の異議で免除無効)
なし
(事後の株主総会での開示は必要)
主な特徴と実務上の用途事前の備えがない場合の最終手段です。株主総会の特別決議を要するため、手続きのハードルは高くなります。業務執行取締役も含めて、損害発生時に迅速に免除したい場合に有効です。ただし、株主から異議を申し立てられるリスクが残ります。社外取締役や監査役を招聘(スカウト)する際の条件として、就任時にあらかじめ締結しておくケースが一般的です。

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【会社法】新株予約権のタイムラインと「各日付・相殺ルール」の完全整理

2026年5月17日 by super-admin

新株予約権の実務や学習において、「割当日」「払込日」「行使日」といった各種日付や、お金の流れ(相殺の可否)はごちゃごちゃになりやすいポイントです。

これらを時系列のタイムラインに沿って、スッキリと整理しました。


1. 新株予約権のタイムラインと各概念の定義

新株予約権が誕生し、最終的に株式に変わるまでの流れと、それぞれの重要概念の定義は以下の通りです。

“`text
【募集事項の決定】(株主総会や取締役会)
│
▼
①【割当日】 ──────> 新株予約権が「誕生」し、投資家のものになる
│
②【払込期日(期間)】 > 新株予約権自体の「本体代金」を払い込む(※有償の場合のみ)
│
③【行使期間の開始】
│
④【行使日】 ──────> 「株をくれ」と権利を使い、実際に株主になる


5. 【いつ権利者になる?】ワラント本体と出資(行使)のタイミング

「いつの時点で、何の権利者になるのか」は、ワラント本体の「発行時」と、株代金を払い込む「行使時」で以下のように法的な効力発生のタイミングが異なります。

① ワラント本体(新株予約権者)の権利者になるタイミング

新株予約権という「将来、株を買える権利」そのものの権利者(新株予約権者)になるのは、【割当日】です。

  • タイミング: 割当日の午前0時(有償の場合は、期日までに払込みが完了していることが前提)
  • 法的な挙動:
    会社法上、割当日に新株予約権が「発生」し、同時に引受人のものになります。有償発行の場合、お金を払い込んだ日(払込日)ではなく、あらかじめ定められた【割当日】に一斉に権利者となります。

② 出資(株主)の権利者になるタイミング

新株予約権を使って、実際に会社の「株主」という権利者になるのは、【行使日(払込みが完了した時)】です。

  • タイミング: 会社に行使請求書が届き、かつ株代金の払込み(または相殺)が完了した「その瞬間」です(会社法282条)。
  • 法的な挙動:
    ワラント本体の時のように「○月○日」という日づけベースではなく、「手続きがすべて完了した時点(株代金が会社の口座に着金した時点など)」で即座に株主としての権利が発生します。そのため、その日の株主総会から議決権を行使することも可能になります。

⚠️ 注意:新株予約権付社債(CB)の場合の例外

もし発行されているのが「新株予約権付社債(社債と新株予約権が一体になったもの)」であり、あらかじめ社債の引き換え(相殺)で行使することが決まっている契約の場合:

  • お金の振り込みを待つ必要がないため、会社に「行使請求書」が到達した時点で即座に株主になります。

まとめ

  • 新株予約権の権利者(新株予約権者)になるのは?
    👉 【割当日】(払込日ではない)
  • 株式の権利者(株主)になるのは?
    👉 行使の請求と出資(相殺)が【すべて完了したその瞬間】

6. 【深掘り】割当日に権利者になるのに、後から払わないと失効する仕組み

「割当日に新株予約権者になる」というルールと、「払込期日までに払わないと失権する」というルールの関係性は、まさに「一度は割当日に正式な権利者になるが、期日までにお金を払わなければ、後からその権利が法律上当然に消滅(失効)する」という仕組みになっています。

この一見不思議な挙動(先にもらえるのに、払わないと消される)には、会社法上の明確な理由があります。

なぜ「払う前」に権利者になれるのか?

会社法第238条1項4号では、払込期日は「割当日以降の日」でも設定できるようになっています。

  • 割当日(Day 1): まず全員一斉に新株予約権が手に入る(権利者になる)。
  • 払込期日(Day 5): お金を払い込む期限。

このようにスケジュールが組まれている場合、Day 1 から Day 4 までの間、その投資家は「未払いの新株予約権を持っている状態(正式な権利者)」となります。

期日までに払わないとどうなるか(解除条件のような挙動)

もしDay 5の期限までに払込みを怠った場合、前述の会社法第246条3項が発動します。
これにより、それまで持っていた新株予約権が「その期日が過ぎた瞬間に、過去に遡るのではなく、その時点から将来に向かって自動的に消滅(失権)」します。

実務的には、一種の「期日までにお金を払わないと失効する」という解除条件が付いた状態で、先に割当日に権利を与えているイメージです。

💡 実務上のカレンダー設定(同日 or 割当日が後)

なお、上記のような「未払い期間」が発生してややこしくなるのを防ぐため、実務(特に小規模な会社やベンチャーの有償発行)では以下のようなスケジュールを組むことが一般的です。

  1. 払込期日と割当日を「同日」にする
    (例:5月17日を払込期日、かつ割当日とする。この場合、17日中に着金が確認できた人だけに、17日に権利が発生する)
  2. 払込期日を「先」に、割当日を「後」にする
    (例:5月15日までに振り込ませて、確認が取れた人に対して5月17日に割り当てる。この場合、払わなかった人には最初から割り当てられない)

したがって、ご認識の通り「有償ワラントにおいて、割当日の段階で一度は正式な権利者になるが、その後の払込期日までにお金を払わなければ自動的に失効する」という理解で間違いありません。

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募集株式発行の手続きの流れ(原則と例外のまとめ)

2026年5月17日 by super-admin

株式会社が新株発行や自己株式の処分(募集株式の発行等)を行う際の手続きについて、原則的な流れと、実務でよく使われる重要な「例外(手続きの分岐)」を整理しました。


1. 全体プロセスの基本フロー

募集株式の発行等は、大きく分けると以下の6つのステップで進行します。

  1. 募集事項の決定(発行株数や価格、期日を決める)
  2. 既存株主への通知・公告(差止請求などの機会を確保する)
  3. 引受けの申込み(投資家が「買いたい」と手を挙げる)
  4. 割当ての決定(会社が「誰に何株売るか」を決める)
  5. 出資の履行(払込み)(投資家がお金を払い込む = 株主になる)
  6. 変更登記(2週間以内に法務局へ登記する)

2. 【原則と例外】各ステップの詳細

ステップ1:募集事項の決定

何を(株式の種類)、いくらで(払込金額)、いつまでに(払込期日)発行するかを決定します。

  • 【原則】非公開会社(株主割当以外)
    • 株主総会の特別決議が必要です(既存株主の持株比率への影響が大きいため)。
  • 【例外①】公開会社(上場企業など)の場合
    • 機動的な資金調達を可能にするため、原則として取締役会(または取締役)の決議で決定できます。
  • 【例外②】有利発行(割安での発行)の場合
    • 公開会社であっても、市場価格に比べて特に有利な価格(格安)で特定の第三者に発行する場合は、既存株主に不利益を与えるため、株主総会の特別決議(および理由の説明)が必要になります。
  • 【例外③】株主割当の場合
    • 既存株主に比率通り割り当てるため、非公開会社であっても取締役会決議(取締役会非設置会社は取締役の過半数の一致)で決定可能です。

ステップ2:株主等への通知・公告

既存株主が「不当な募集」に対して発行差止請求などを行えるよう、情報を開示します。

  • 【原則】払込期日の2週間前までに通知または公告
    • 第三者割当や公募の場合、既存株主に対して募集事項を個別に通知するか、官報等で公告する必要があります。
  • 【例外①】株主割当の場合
    • 権利を行使するかどうかの検討期間を確保するため、払込期日の2週間前ではなく「申込期日」の「2週間前までに通知(または公告)」する。割当を受ける権利を与える旨の通知を個別に送る必要があります。
  • 【例外②】通知・公告を省略できるケース
    • 非公開会社で株主全員の同意がある場合や、すべての募集株式について総数引受契約(後述)が締結されている場合は、この2週間前の通知・公告を省略できます。

ステップ3&4:引受けの申込みと割当ての決定

誰が引き受けて、会社がそれをどう割り当てるかを決めます。

  • 【原則】申込者からの募集 & 取締役会等による割当決議
    • 投資家が書面で申込みを行い、会社が「誰に何株割り当てるか」を取締役会(または株主総会)の決議で自由に決定します(申込み満額を割り当てる必要はありません)。
  • 【例外】総数引受契約(実務で非常に多い例外)
    • 特定の者が募集株式の「全株」を引き受ける契約を会社と結ぶ場合(総数引受契約)、ステップ3(申込み)とステップ4(割当て)の手続きを丸ごとスキップできます。株主総会や取締役会で「総数引受契約の承認」を得るだけで完了するため、1人オーナー企業や特定のVCからのみ出資を受ける実務では、ほぼこの例外が使われます。

ステップ5:出資の履行(払込み)と権利発生

お金が払い込まれ、正式に株主としての権利が発生するタイミングです。

  • 【原則】払込期日の当日、または払込期間内に払い込んだ日
    • 期日または期間を定めて、指定の金融機関等の口座に払い込みます。
  • 【例外】現物出資(金銭以外の出資)
    • 不動産や債権などを出資する場合(デット・エクイティ・スワップ:DESなど)は、原則として裁判所が選任した検査役の調査が必要ですが、一定の要件(少額、有価証券、弁護士等の証明がある等)を満たせば調査を省略できます。

ステップ6:変更登記

  • 【原則】払込期日(または期間の末日)から2週間以内
    • 発行済株式総数、資本金の額などの変更登記を本店の所在地で行う必要があります。これは例外なく必須の手続きです。

3. 割当方法による「決議機関」のクイック比較表

株主の構成(公開/非公開)と、割り当てる対象によって、どこの決議が必要かが変わります。

会社形態株主割当第三者割当・公募(通常価格)第三者割当・公募(有利発行)
非公開会社
(全株譲渡制限)
取締役会
(または取締役の過半数)
株主総会(特別決議)株主総会(特別決議)
公開会社
(一部でも譲渡自由)
取締役会取締役会株主総会(特別決議)

※非公開会社で「株主割当」を行う場合でも、定款に別段の定めがない限りは取締役会(または取締役の過半数)で決定できますが、既存株主の比率が崩れないため手続きが緩和されています。

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