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会計士試験勉強まとめ

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自己株式取得における主な規制まとめ

2026年5月16日 by super-admin

自己株式の取得(金庫株の取得)については、会社の財産が不当に流出して債権者を害することや、不公正な株価操縦、インサイダー取引などを防ぐため、会社法および金融商品取引法によって厳格な規制が設けられています。

主な規制は大きく分けて以下の4つに分類されます。


1. 財源規制(分配可能額の制限)

会社法上、最も重要な規制です。自己株式の取得に充てることができる金額は、株主への配当などと同様に、「剰余金の分配可能額」の範囲内に限られます(会社法461条1項)。

  • 目的: 会社の資本の充実を図り、会社債権者を保護するため。
  • 違反時のペナルティ: 分配可能額を超えて取得した場合(違法配当・違法自己株取得)、承認した取締役や株主は、会社に対してその超過額を連帯して支払う義務(填補責任)を負います。原則として総株主の同意がなければこの責任は免除されません。

2. 手続き規制(株主間の公平性の確保)

取得する方法(市場で買うか、特定の株主から買うか)によって、求められる決議要件や手続きが異なります。

① 市場取引や公開買付け(TOB)による場合

  • 決議要件: 原則として、株主総会の普通決議(または定款の定めがある場合は取締役会決議)が必要です。
  • 決定事項: 取得する株式の「数量の上限」「対価の総額の上限」「取得期間(1年以内)」をあらかじめ定めます。

② 特定の株主からの買い取り(相対取引)の場合

特定の株主だけから買い取る場合、他の株主に不利益が生じる可能性があるため、規制が厳しくなります。

  • 決議要件: 株主総会の特別決議が必要です。
  • 売主追加請求権: 議案に名前がない他の株主は、「自分も売主の中に加えてくれ」と請求する権利(売主追加請求権)を持ちます。
  • 例外: 子会社から取得する場合や、相続人から相続した株式を買い取る場合などは、この追加請求権は発生しません。

3. インサイダー取引規制

上場企業が自己株式を取得する場合、金融商品取引法(金商法)のインサイダー取引規制が適用されます。

  • 会社自身が「未公表の重要事実(業績予想の大幅な修正や他社との業務提携など)」を知っている状態での自己株式取得は、インサイダー取引として禁止されます。
  • そのため、実施にあたっては重要事実の公表後に行うなどの厳格なスケジュール管理が必要です。

4. 株価操縦の防止(市場誘導の規制)

上場企業が市場から自己株式を買い付ける際、大量の注文によって意図的に株価を吊り上げるような「株価操縦」を防止するため、内閣府令(有価証券の取引等の規制に関する内閣府令)によって取引の方法が細かく制限されています。

  • 買付時間の制限: 取引終了直前の時間帯(クロージング間際)の買い注文の禁止。
  • 価格の制限: 直近の市場価格を上回る価格での指値注文の禁止。
  • 数量の制限: 1日の買付数量の上限(原則として、過去4週間の1日平均売買高の25%まで)。
  • 証券会社の制限: 原則として、1日に発注できる証券会社は1社のみ。

まとめ一覧表

規制の種類根拠法令主な内容・目的
財源規制会社法剰余金の分配可能額を超えて取得してはならない(債権者保護)
手続き規制会社法取得方法に応じた総会決議(普通・特別)。特定株主からの取得時は他株主への配慮が必要(株主平等原則)
不公正取引の防止金融商品取引法インサイダー取引の禁止、株価操縦を防ぐための買い方(時間・価格・数量)の制限(市場の公平性)

※非公開会社(制限会社)の場合は、主に「1. 財源規制」と「2. 手続き規制(特に特定株主からの取得)」の2点が実務上の大きなポイントになります。

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各種書類の閲覧・謄写

2026年5月16日 by super-admin

主要な書類別に、請求できる主体(利害関係者)、要件・条件、および閲覧可能な時間を整理しました。


1. 総会・取締役会議事録など

株主総会や取締役会の議事録は、会社の意思決定のプロセスを確認するための重要な書類です。

書類請求できる主体要件・条件閲覧可能な時間
株主総会議事録
(法318条4項)
・株主
・会社債権者
特になし(単独で請求可能。不当な目的であっても拒絶事由はないとされる)営業時間内いつでも
取締役会議事録
(法369条5項)
・株主権利を行使するために必要があるとき。
※監査役設置会社・監査等委員設置会社・指名委員会等設置会社では、裁判所の許可が必要。
営業時間内(裁判所の許可がある場合はそれに従う)
・会社債権者役員等の責任を追及するために必要があるとき。
※裁判所の許可が必要。
同上

2. 計算書類(財務諸表・附属明細書)

決算書などの財務情報は、株主や債権者にとって最も関心の高い書類です。

書類請求できる主体要件・条件閲覧可能な時間
計算書類・事業報告
およびその附属明細書
(法442条3項)
・株主
・会社債権者
特になし(単独で請求可能。債権者保護の観点から広く認められている)営業時間内いつでも
・親会社社員(株主)その権利を行使するために必要があるとき。
※裁判所の許可が必要。
営業時間内(裁判所の許可がある場合はそれに従う)

3. 株主名簿

株主が他の株主と連絡を取ったり、経営陣に対抗するために必要な書類ですが、個人情報が含まれるため「拒絶事由」が明記されています。

書類請求できる主体要件・条件閲覧可能な時間
株主名簿
(法125条2項)
・株主
・会社債権者
原則としていつでも請求可能。
ただし、会社法125条3項に定める拒絶事由(※後述)に該当しないこと。
営業時間内いつでも

※株主名簿の閲覧拒絶事由(法125条3項)

会社は、請求者が以下のいずれかに該当するときは、閲覧を拒絶することができます。

  1. 権利の確保・行使に関する調査以外の目的で請求したとき。
  2. 会社の業務の妨害、または株主の共同の利益を害する目的で請求したとき。
  3. 会社の競争関係にある者が請求したとき(ただし、株主の権利行使に必要な場合を除く)。
  4. 株主名簿の閲覧等によって知り得た事実を転売して利益を得る目的で請求したとき。

4. 会計帳簿(総勘定元帳・仕訳帳など)

計算書類の基礎となる会計帳簿は、企業の機密情報(取引先や仕入値など)が詰まっているため、株主総会議事録などと比べて非常に厳しい制限(株主のみ・持株比率要件あり)が設けられています。債権者には閲覧権がありません。

書類請求できる主体要件・条件閲覧可能な時間
会計帳簿・これに関する資料
(法433条1項)
・総株主の議決権の100分の3(3%)以上の議決権を有する株主
・発行済株式の100分の3(3%)以上の数の株式を有する株主
(※単独または合算)
請求の理由を具体的に明らかにしてしなければならない。
また、株主名簿と同様の拒絶事由(法433条2項※後述)に該当しないこと。
営業時間内いつでも

※会計帳簿の閲覧拒絶事由(法433条2項)

  1. 株主がその権利の確保・行使に関する調査以外の目的で請求したとき。
  2. 会社の業務の妨害、または株主の共同の利益を害する目的で請求したとき。
  3. 会社の競争関係にある者が請求したとき。
  4. 会計帳簿の閲覧等によって知り得た事実を転売して利益を得る目的で請求したとき。
  5. 株主が受領する「不適当な時期」に請求したとき(決算直前の極めて繁忙な時期など)。

まとめ(主体の違いによる比較)

  • 株主: 基本的にすべての書類に対して閲覧請求権がありますが、「会計帳簿」に関しては3%の持株比率が必要です。また、取締役会議事録や会計帳簿など、会社の機密性が高い書類ほど「正当な理由(必要性)」や「拒絶事由の審査」が厳しくなります。
  • 会社債権者: 「株主総会議事録」「計算書類」「株主名簿」までは閲覧可能ですが、「取締役会議事録」の閲覧には裁判所の許可が必要であり、「会計帳簿」に関しては一切の閲覧権が認められていません。

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【公認会計士試験】企業法対策:「裁判所の許可を得て」行うイシューまとめ

2026年5月16日 by super-admin

日本の公認会計士試験・短答式の企業法(会社法)において、「裁判所の許可を得て」行う手続きは、ひっかけ問題(「取締役会の承認」や「株主総会の決議」との入れ替え)として非常によく狙われる重要ポイントです。

この論点は、大きく分けると「① 書類等の閲覧・謄写請求」と「② 組織再編や清算などの特殊な手続き」の2つに集約されます。試験直前の暗記用として、重要イシューを整理しました。


1. 閲覧・謄写(コピー)請求に関する許可

もっとも出題頻度が高いグループです。原則として株主や債権者は自由に閲覧できますが、「監査役(等)設置会社」である場合や、「親会社を介して子会社の書類を見る」といった、会社経営の独立性や秘密保持への配慮が必要なケースで「裁判所の許可」が要求されます。

対象となる書類裁判所の許可が必要なケース補足・注意点
株主総会議事録
取締役会議事録
監査役会議事録 等
(371条など)
① 監査役設置会社等の株主が請求するとき
② 債権者が請求するとき
③ 親会社社員(株主)が請求するとき
※監査役がいない会社では、株主は「営業時間内いつでも」無許可で閲覧できます(ここが引っ掛けで出ます)。
会計帳簿・資料
(433条3項)
親会社社員(株主)が、その権利行使のために子会社の会計帳簿を閲覧するとき※通常の株主(総株主の議決権or発行済株式の3/100以上保有)が自社の会計帳簿を求める際は、裁判所の許可は不要です(理由を明示して直接請求)。
清算人の計算書類 等
(496条3項)
清算株式会社の債権者、および親会社社員が請求するとき※清算株式会社の株主は、いつでも無許可で閲覧可能です。

2. 株式・新株予約権に関する許可

募集株式の発行等において、現物出資(金銭以外の財産を出資)が行われる際、検査役の調査を省略できる基準として裁判所の許可が登場します。

  • 現物出資の検査役調査の免除(207条9項4号 / 284条9項4号)
    • 現物出資財産の価額について、弁護士・公認会計士・税理士等の証明を受けた場合、原則として検査役の調査は不要。
    • ただし、その財産が不動産である場合は、不動産鑑定士の鑑定評価を受け、かつ**

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【会社法】3つのガバナンス形態(監査役会・監査等委員会・指名委員会等)の徹底比較表

2026年5月16日 by super-admin

日本の会社法における株式会社の主要な3つのガバナンス(企業統治)形態について、それぞれの特徴や権限の違いを一覧表にまとめました。


3大ガバナンス形態の比較一覧表

比較項目監査役会設置会社
(従来型)
監査等委員会設置会社
(ハイブリッド型)
指名委員会等設置会社
(アメリカ型)
機関としての特徴経営を行う取締役を、独立した「監査役」が外部から監視する伝統的なスタイル。取締役会の内部に「監査等委員会」を置き、内部から経営を監視するスタイル。「指名・監査・報酬」の3つの委員会を置き、監督と執行を完全に分離したスタイル。
監査を行う人監査役取締役
(監査等委員である取締役)
取締役
(監査委員である取締役)
設置が必須の委員会なし監査等委員会 のみ指名委員会・監査委員会・報酬委員会 の3つすべて
執行役(役職)の有無なしなしあり(最低1名以上の執行役が必要)
法律上の取締役の最低人数3名以上
(別途、監査役が3名以上必要)
3名以上
(過半数は社外取締役)
3名以上
(各委員会は3名以上・過半数社外)
監査担当者の取締役会での議決権なし
(意見陳述権のみ)
あり
(取締役として1票を持つ)
あり
(取締役として1票を持つ)
役員報酬の決定権株主総会
(総額の枠を決め、配分は社長一任が一般的)
株主総会
(委員会は株主総会で報酬への意見陳述権あり)
報酬委員会
(株主総会の決議すら不要で、1円単位まで最終決定)
役員の人事権(選解任案)取締役会 など
(最終決定は株主総会)
取締役会 など
(委員会は株主総会で選解任への意見陳述権あり)
指名委員会
(株主総会に提出する取締役の選解任議案を独占的に作成)
業務執行の委任(経営スピード)原則不可
(重要な業務執行は必ず取締役会での決議が必要)
可能
(定款や取締役会決議により、社長へ大幅な委任が可能)
可能
(取締役会から執行役へ、広範な業務執行の委任が可能)
主な導入の目的・メリット従来の日本型の慎重な合議制・監査体制を維持したい場合。社外取締役を有効活用しつつ、ガバナンス強化と迅速な経営を両立したい場合。所有と経営を完全に分離し、海外投資家への透明性を最大限アピールしたい場合。

各形態のポイントまとめ

  • 監査役会設置会社
    「やる側(取締役)」と「チェックする側(監査役)」が組織として完全に分かれているのが特徴です。ただし、監査役に議決権がないことや、意思決定の委任がしにくい点がスピード感に欠けると評されることがあります。
  • 監査等委員会設置会社
    監査役を廃止し、監査担当者を「取締役」として取り込んだ形です。社外取締役の人数を「監査枠」と「ガバナンス強化枠」でカウントが共通化できるため、現在の上場企業で最も移行が進んでいる形態です。
  • 指名委員会等設置会社
    「取締役会は監督だけ」「ビジネスは執行役(社長など)が全責任を持って行う」という、極限まで経営の分離を進めた形です。報酬委員会が役員の給与決定権を完全に握るなど、最もドラスティックなガバナンスが敷かれます。

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会社法における「機関」一覧:全10種類の特徴と役割まとめ

2026年5月16日 by super-admin

日本の会社法(特に株式会社)において規定されている「機関」は、全部で10種類あります。

会社法上の「機関」とは、会社の意思決定を行ったり、業務を執行したり、それらを監督・監査したりする、独立した地位・機能を持つポジションや会議体のことです。

ここでは、すべての機関の概要と、それぞれの主な役割を一覧表で分かりやすく解説します。


株式会社の機関一覧(全10種)

機関名主な役割・機能
1. 株主総会会社の最高意思決定機関。すべての株式会社に必ず設置されます。会社の基本方針や役員の選任などを決定します。
2. 取締役会社の業務執行を行う個人。すべての株式会社に必ず1人以上必要です。
3. 取締役会3人以上の取締役で構成される会議体。会社の業務執行の決定や、取締役の監督を行います。
4. 会計参与取締役(または執行役)と共同して、計算書類(財務諸表)を作成する専門職(公認会計士、税理士、または税理士法人など)。
5. 監査役取締役の業務執行や会計を監査(チェック)する個人。
6. 監査役会3人以上の監査役で構成される会議体。監査の方針などを決めます(半数以上は社外監査役である必要があります)。
7. 会計監査人会社の計算書類を外部の立場から監査する会計の専門家(公認会計士または監査法人)。大会社などでは設置が義務づけられています。
8. 執行役「指名委員会等設置会社」において、取締役会から委任を受けて実際の業務執行を担当する役職。
9. 委員会「指名委員会等設置会社」に設置される、取締役で構成される3つの委員会(指名委員会・監査委員会・報酬委員会)。
10. 監査等委員会「監査等委員会設置会社」に設置される、3人以上の取締役(過半数は社外取締役)で構成される委員会。監査役の代わりに取締役の職務執行を監査します。

機関設置の基本ルール

株式会社を設立・運営するにあたり、これらの機関は自由に組み合わせられるわけではなく、一定のルールが存在します。

  • 必須の機関
    すべての株式会社で絶対に省略できないのは「株主総会」と「取締役(1人以上)」だけです。
  • 規模や公開性による義務
    会社の規模(大会社か否か)や、公開会社(株式の譲渡制限がない会社)か否かによって、取締役会の設置が義務づけられたり、監査役や会計監査人の設置が必要になったりします。
  • ガバナンス形態の選択
    従来の「監査役会設置会社」のほか、アメリカ型の「指名委員会等設置会社」、その中間的な「監査等委員会設置会社」など、どの機関設計を採用するかによって、選べる機関の組み合わせが決まります。

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【会社法】組織再編行為における対価一覧と特徴まとめ

2026年5月16日 by super-admin

日本の会社法では、M&Aやグループ内の組織再編を柔軟に行えるよう、対価の選択肢が広く認められています(いわゆる「対価の柔軟化」)。
各組織再編行為において「何が対価として使えるのか(単独交付の可否など)」を一覧表と実務上の留意点にまとめました。


1. 組織再編行為の対価一覧表

各手続きにおいて、対価として交付できるものの可否は以下の通りです。

組織再編行為親会社・存続会社の株式現金(キャッシュ)社債・新株予約権親会社の親会社株式(三角組織再編)
合併
(吸収・新設)
⭕
(基本形態)
⭕
(単独交付も可)
⭕
(単独交付も可)
⭕
(三角合併など)
会社分割
(吸収・新設)
⭕
(基本形態)
⭕
(単独交付も可)
⭕
(単独交付も可)
⭕
(三角会社分割など)
株式交換⭕
(基本形態)
⭕
(現金対価株式交換)
⭕
(単独交付も可)
⭕
(三角株式交換)
株式移転
※新設組織
⭕
(必須)
⚠️
(単独不可・株式と併用)
⚠️
(単独不可・株式と併用)
⭕
(三角株式移転)
株式交付
※子会社化
⭕
(必須)
⚠️
(単独不可・株式と併用)
⚠️
(単独不可・株式と併用)
❌
(制度上認められない)

2. 各組織再編における対価の特徴と実務上の留意点

① 合併・会社分割・株式交換(吸収型・既存会社への集約)

これらは、すでに対象となる法人(存続会社・承継会社・完全親会社)が存在している、または新設合併のように新会社を設立する手続きです。

  • 「一切の財産」が対価にできる
    会社法上、対価として「株式、社債、新株予約権、現金、その他一切の財産」を交付することが認められています。
  • 無対価(むたいか)組織再編も可能
    100%親会社と子会社の間の合併や会社分割など、株式を新たに交付しても持株比率や資産価値に変動がない場合は、あえて対価を交付しない「無対価」での手続きが実務上広く行われています。
  • スクイーズアウトへの応用
    株式交換の対価を「現金のみ」にすることで、少数株主に現金を渡して強制退場させる「現金対価株式交換」というスクイーズアウト手法が、M&Aの実務で多用されます。

② 株式移転(ホールディングス化・新設組織)

株式移転は、既存の会社の株主が、新しく設立する持株会社(完全親会社)に手持ちの株をすべて拠出する手続きです。

  • 新設会社の「株式」が絶対必須
    新しくできる会社に「株主(オーナー)」が存在しなくなってしまうのを防ぐため、対価として必ず新設会社の株式を一部含める必要があります。
  • 現金や社債は「抱き合わせ(併用)」なら可能
    「新設親会社の株式 + 現金」や「新設親会社の株式 + 社債」といった形であれば、株式以外の財産を混ぜて交付することが可能です。

③ 株式交付(2021年創設の新制度・子会社化)

株式交付は、他社を完全子会社(100%)ではなく、「議決権の過半数を持つ子会社」にするために自社株を対価として買い取る、日本版の株式交換とも言える制度です。

  • 自社株式の交付が絶対必須
    株式移転と同様に、対価として必ず「株式交付親会社の株式」を交付しなければなりません(法774条の3第1項)。現金のみで買い取る場合は、通常の「公開買付(TOB)や相対での株式譲渡」扱いとなり、株式交付のスキームは使えません。
  • 現金併用は可能(ただし税制面に注意)
    自社株と一緒に現金を渡す(抱き合わせ)ことは法的に可能ですが、対価に占める自社株の割合が80%未満になると、株主に譲渡損益課税が繰り延べられない(税制非適格になる)という実務上の大きな罠があるため、税務面の慎重な設計が必要です。
  • 三角組織再編(親会社の親会社株)は不可
    株式交付では、親会社の親会社株式(孫会社化するための対価)を交付する「三角株式交付」のような設計は法律上認められていません。

3. 実務における対価選びの視点

実務において対価を選択する際は、法律上の可否だけでなく「株主への課税関係(組織再編の税制適格・非適格)」や「自社の議決権(持株比率)を薄めたくないか」という視点が非常に重要になります。

  • 議決権を薄めたい(または買収資金がない): 親会社株式を対価にする
  • 議決権を維持したい(かつキャッシュがある): 現金を対価にする
  • 議決権を維持したい(がキャッシュを温存したい): 社債を対価にする

経営陣の意図や財務状況、また組織再編後に目指すグループ体制に合わせて、最適な対価が選択されます。


※本内容は会社法に基づき作成されていますが、実際の組織再編の実務においては、税務・会計上の適格要件等も含めて弁護士や公認会計士、税理士等の専門家へご相談ください。

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