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会計士試験勉強まとめ

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会社法における各種書類の閲覧・謄写権まとめ(裁判所許可・親子会社関係を含む)

2026年5月21日 by super-admin

会社法上、株主や債権者などの利害関係者には、会社の経営を監視したり、自身の権利を守ったりするために、会社の様々な書類を閲覧・謄写(コピー)する権利が認められています。

誰が、どの書類を、どのような条件で閲覧できるのか、「通常のケース」「裁判所の許可が必要なケース」「親会社・子会社が絡むケース」に分けて整理しました。


1. 【一覧表】関係者別・書類別の閲覧権限(早見表)

関係性と書類の組み合わせによる「裁判所許可の要否」の全体像です。

請求者定款・計算書類株主総会議事録取締役会議事録会計帳簿 (総議決権等3%〜)
株主 (単独株主)いつでも可いつでも可裁判所の許可が必要
(※監査役設置会社等)
理由を明記して可
(許可は不要)
会社債権者いつでも可裁判所の許可が必要裁判所の許可が必要権限なし
親会社の株主裁判所の許可が必要裁判所の許可が必要裁判所の許可が必要裁判所の許可が必要
(※親会社の3%以上保有)

2. 通常の閲覧権(裁判所の許可が不要なケース)

会社の基本情報や決算情報などは、比較的広い範囲の利害関係者に、裁判所の許可なく閲覧する権利が認められています。

① 定款

  • 閲覧ができる人: 株主、債権者
  • 条件・特徴: 営業時間内であれば、いつでも請求可能です(理由の開示は不要)。

② 株主総会議事録

  • 閲覧ができる人: 株主
  • 条件・特徴: 営業時間内であれば、いつでも請求可能です。

③ 計算書類・事業報告(貸借対照表、損益計算書など)

  • 閲覧ができる人: 株主、債権者
  • 条件・特徴: 定時株主総会の2週間前から5年間、本店に備え置かれます。営業時間内であれば、いつでも請求可能です。

④ 株主名簿

  • 閲覧ができる人: 株主、債権者
  • 条件・特徴: 営業時間内であれば原則いつでも請求可能。ただし、請求の目的が「不当な目的(名簿の転売、株主への嫌がらせなど)」であると会社が証明できる場合、会社は拒否できます。

⑤ 会計帳簿(総勘定元帳、仕訳帳、領収書等)

  • 閲覧ができる人: 総株主の議決権の3%以上、または発行済株式の3%以上を持つ株主
  • 条件・特徴: 経営の実態を詳細に調べるための権利です。請求にあたっては、具体的な理由を明記する必要があります。拒否事由(競合他社への情報漏洩目的など)がない限り、会社は拒否できません(債権者にはこの権利はありません)。

3. 裁判所の許可が必要になるケース

「会社の秘密(企業秘密)を守る必要性」や「濫用を防ぐ」という観点から、通常の請求よりも厳格なハードル(裁判所の許可)が課せられているケースです。

① 取締役会議事録の閲覧

取締役会は会社の具体的な経営戦略や生々しい取引が話し合われる「秘密の部屋」であるため、覗き見るには高いハードルが設定されています。

  • 株主が請求する場合: 会社が監査役設置会社(※会計限定監査役を除く)、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社である場合は、株主であっても裁判所の許可が必要です。(会社法371条3項)
  • 債権者が請求する場合: 役員の責任を追及するために必要な場合に限り、裁判所の許可を得て閲覧できます。(会社法371条4項)

② 株主総会議事録を「債権者」が閲覧する場合

  • 株主はいつでも見られますが、債権者が株主総会議事録を見るには、裁判所の許可が必要です。

💡 裁判所が許可を出す基準
単に「見たいから」では許可されません。株主代表訴訟の準備や、役員の不正・責任追及など、「権利を行使するために真に必要であること(必要性の疎明)」を裁判所に証明する必要があります。


4. 親会社・子会社が絡むケース(親会社株主の権利)

会社法上、親会社の株主のことを「親会社社員」と呼びます。
親会社の株主は、子会社の経営状況が親会社の株価や配当に直結するため、子会社の書類をチェックする権利(経営監視権)が認められています。

ただし、彼らは「子会社の直接の株主ではない」ため、子会社の企業秘密を荒らされないよう、すべての書類において「裁判所の許可」が必須となっています。

子会社の書類親会社株主(親会社社員)が閲覧するための要件
定款・株主名簿権利行使のために必要があるとき、裁判所の許可を得て閲覧可能。
株主総会・取締役会議事録権利行使のために必要があるとき、裁判所の許可を得て閲覧可能。
計算書類・事業報告権利行使のために必要があるとき、裁判所の許可を得て閲覧可能。
会計帳簿(総勘定元帳等)親会社の議決権(または発行済株式)の3%以上を持つ株主が、権利行使のために必要があるとき、裁判所の許可を得て閲覧可能。

⚠️ 実務上の注意点(会計帳簿の拒否事由)

親会社株主による子会社の「会計帳簿閲覧」については、子会社側から「拒否事由」を主張されるリスクが高まります。
例えば、親会社の株主が「子会社の競合他社」の経営者でもある場合、客観的に競業関係にあるだけで、主観的な悪意がなくても子会社側は閲覧を拒否できるとする判例があります(実務上、インサイダーや情報漏洩のリスクを極めて厳しく判断するためです)。

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株券不所持制度とは?仕組みや「不発行制度」との違いを分かりやすく解説

2026年5月21日 by super-admin

株券不所持制度(かぶけんふしょじせいど)とは、株券を発行する会社(株券発行会社)において、株主が「自分は紙の株券を持っていたくないので、会社で保管(不発行に)しておいてほしい」と申し出ることができる制度です(会社法217条)。

紛失や盗難、偽造のリスクを避けるために設けられています。


1. 制度の仕組みと特徴

  • 株主からの申し出: 株主は会社に対して、特定の株式について株券の所持を希望しない旨をいつでも申し出ることができます。
  • 株券の無効化と不発行: すでに株券が手元にある場合は会社に提出し、会社がそれを株主名簿に記録することで、その株券は無効(ペーパーレス状態)になります。まだ発行されていない場合は、会社は株券を発行しません。
  • いつでも再発行が可能: 不所持の申し出をした後でも、株主は会社に対して「やっぱり株券を発行してほしい」といつでも請求できます。

⚠️ 注意点(譲渡時のルール)
株券不所持制度を利用していても、その会社自体が「株券発行会社」である以上、株式を他人に譲渡(売却)する際には、一度会社に株券を発行してもらい、それを相手に手渡す(交付する)必要があります。(株券を出さずに名義書換だけを行っても、譲渡の効力が発生しないため注意が必要です)


2. 「株券不所持制度」と「株券不発行制度」の違い

実務上、この2つは混同されやすいですが、「会社全体のルール」か「株主個人の選択か」という大きな違いがあります。

項目株券不所持制度(会社法217条)株券不発行制度(会社法214条など)
対象株券を発行する会社の株主株券を一切発行しない会社
主体の違い株主の意思で「私は持たない」と決める会社の定款で「株券は発行しない」と決める
譲渡の方法一度株券を発行してもらい、株券を交付する株券は存在しないため、当事者の合意と株主名簿の書換えで行う
再発行可能(株主が請求すれば発行される)不可能(定款を変更しない限り発行できない)

3. 現在の実務における位置づけ

現在では、この制度が使われるケースはかなり限定的になっています。理由は以下の法改正の流れにあります。

  • 上場企業の場合: 2009年(平成21年)の「株券電子化」により、すべての上場企業は強制的に「株券不発行」となったため、この不所持制度自体が存在しません(すべてほふり等の振替口座で管理されています)。
  • 非上場(中小企業など)の場合: 2006年(平成18年)施行の会社法により、日本の株式会社は原則として「株券を発行しない(不発行)」がデフォルトになりました。定款にわざわざ「株券を発行する」と定めている会社(旧商法時代からそのままにしている会社など)でのみ、現在もこの不所持制度が適用されます。

もし、ご自身が関わっている会社が「株券を発行する定款」になっており、株券の紛失リスクや管理コストを完全に無くしたい場合は、株主個人の不所持申出を待つよりも、株主総会で定款を変更して「株券不発行会社」へと移行するのが現在の一般的な実務の手順です。

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【図解】株券失効制度とは?紛失時の手続きの流れと会社の実務

2026年5月21日 by super-admin

「株主が紙の株券を無くしてしまった…」
そんなときに、紛失された古い株券の効力を強制的に無くし、新しい株券を再発行できるようにするための手続きが「株券失効制度(かぶけんしっこうせいど)」です。

日本では2009年の株券電子化にともない、上場企業の株券はすべて無効(電子化)となっているため、現在この制度が関係するのは主に株券を発行している非上場企業(中小企業など)となります。

万が一の際に会社側がどのような実務を行う必要があるのか、手続きの流れや「公告・通知」の具体的内容について分かりやすく解説します。


株券失効手続きの全体フロー

株券を紛失してから再発行にいたるまでには、善意の第三者を保護するために約1年間の猶予期間が設けられています。

  1. 株券喪失登録の申請(株主 → 会社)
    株券を紛失した株主が、会社に対して「株券喪失登録」の請求を行います。
  2. 登録と通知(会社の義務)
    会社は「株券喪失登録簿」にその旨を記載し、対象の株券を一時的に取引できない状態(ロック)にします。
  3. 1年間の待機期間(公告・通知)
    登録日の翌日から1年間、別の所有者が現れる(利害関係人の異議申し立て)のを待ちます。
  4. 株券の失効と再発行
    1年間、誰からも異議申し立てがなければ、元の紙の株券は自動的に失効(無効化)し、会社は株券を再発行できるようになります。

💡 1年以内に別の人が株券を持ってきた場合
待機期間中に、他の人が「その株券は自分が正当に譲り受けたものだ」と株券を会社に提示した場合(異議申し立て)、会社は株券喪失登録を抹消しなければなりません。この場合、当事者間でどちらが真の所有者かを争うことになります。


会社が行う「公告」と「通知」の具体的内容

株券喪失登録があった際、会社は「誰かが無くしたと言っているこの株券、いま持っている人はいませんか?」と世間に広く知らせるため、法律(会社法)に基づき以下の実務を行います。

1. 公告(広く一般に知らせる)

会社の定款(ていかん)で定めている「公告方法」に従って掲載します。

  • 掲載する場所: 一般的には官報(かんぽう)、日刊新聞紙、または自社ウェブサイト(電子公告)のいずれか。
  • 掲載する内容: * 株券喪失登録者の氏名・住所
  • 紛失された株券の記号・番号、枚数、株式の数
  • 「登録日の翌日から1年以内に異議申し立てがないときは、この株券は無効(失効)になります」という警告文

2. 通知(関係者へピンポイントで知らせる)

公告と同時に、以下の利害関係者に対して直接、書面などで連絡(通知)を送ります。

  • 株券喪失登録者: 申請を受け付け、登録が完了した旨。
  • 株券の名義人(登録者と異なる場合): 名

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【会社法】株式会社設立の基本「発起設立 vs 募集設立」と「変態設立事項」の重要まとめ

2026年5月21日 by super-admin

株式会社を設立する際、避けて通れないのが「発起設立」と「募集設立」という2つの手法の選択です。また、出資のプロセスでトラブルになりやすい「変態設立事項」についても、正しい知識を持っておく必要があります。

本記事では、これら会社法上の重要ポイントを分かりやすく整理して解説します。


1. 発起設立と募集設立の比較

2つの手法の最大の違いは、「発行する株式を誰が引き受けるか(お金を誰が出すか)」という点です。

項目発起設立募集設立
株式の引受人発起人(設立メンバー)のみがすべての株式を引き受ける。発起人だけでなく、外部の投資家(募集に応じた人)も株式を引き受ける。
手続の複雑さ比較的シンプルでスピーディ。外部からお金を集めるため、手続きが厳格で複雑。
設立時取締役の選任発起人の議決権の過半数で選任。創立総会(株主総会のようなもの)を決議して選任。
取締役会設置任意(取締役1人でもOK)。必須(取締役3人以上・監査役1人以上が必要)。
公証人の調査変態設立事項がある場合、原則として検査役(裁判所が選ぶ調査員)の調査が必要。変態設立事項だけでなく、設立手続き全般について検査役または公証人の調査が必要。

💡 実務上のポイント
現在の実務では、手続きが圧倒的に楽な「発起設立」が全体の9割以上を占めています。まずは発起設立で会社を作ってしまい、後から第三者割当増資などで外部から資金を調達する方が効率的だからです。


2. 変態設立事項(へんたいせつりつじこう)とは?

「変態」とは法律用語で「通常とは異なる特別な形態」という意味です。

株式会社の資本金は「原則として現金」で出資しますが、現金以外の出資を認めたり、設立に貢献した人に特別な報酬を約束したりすると、会社の財産がペーパー上の金額よりも少なくなってしまうリスク(資本充実を害するリスク)があります。

これでは、一緒に会社を作る他の出資者や、今後の取引先(債権者)が損をしてしまいます。そこで、会社法第28条では「怪しい約束は、定款(ていかん)にちゃんと書かないと効力を持たせない(相対的記載事項)」と規制しています。

具体的には、以下の4つが該当します。

① 現物出資(げんぶつしゅっし)

お金ではなく、「車」「パソコン」「不動産」「特許権」などのモノで出資することです。

  • できる人: 発起設立では発起人のみ。募集設立では発起人+外部の引受人も可能。
  • 定款記載内容: 出資者の氏名、財産の詳細、与える株式の数。

② 財産引き受け(ざいさんひきうけ)

会社の設立を条件に、設立後に特定の財産を買い取ることを、あらかじめ約束しておくことです。現物出資の抜け道として使われやすいため、同様の厳しい規制がかかります。

③ 发起人が受ける報酬(ほっきにんがうけるほうしゅう)

会社を設立したご褒美として、発起人が会社から受け取る報酬です。金額を自由に決められると、設立直後にお金が流出してしまうため、定款に金額や氏名の記載が必要です。

④ 設立費用(せつりつひよう)

定款の認証手数料や登録免許税など、会社設立までにかかった費用のうち、会社が負担する額です。発起人の個人的な費用を会社につけ回しされるのを防ぎます。


3. 現物出資の「検査役調査」と免除規定(設立時・設立後)

変態設立事項(特に現物出資や財産引き受け)がある場合、原則として裁判所が選任した「検査役」の調査を受けなければなりません。しかし、これには多額の費用と数ヶ月の時間(数ヶ月)がかかるため、実務では以下の免除規定を使ってスキップするのが一般的です。

会社設立時の免除要件

  1. 500万円以下の少額特例: 現物出資・財産引き受けの総額が500万円以下であれば調査不要(実務上の王道)。
  2. 市場価格のある有価証券: 上場株式などを市場価格を超えない価額で出資する場合。
  3. 専門家の証明: 弁護士、公認会計士、税理士などの専門家から「評価額が適正である」という証明書をもらった場合(不動産は不動産鑑定士の鑑定も必要)。

会社設立「後」の増資時の免除要件

設立後に新株を発行して現物出資を受ける場合も、原則として検査役の調査が必要(会社法207条)ですが、設立時の3つに加えてさらに強力な2つの免除規定が使えます。

  • 10分の1特例: 現物出資者に割り当てる株式数が、発行済株式総数の10分の1以下であれば金額に関わらず調査不要。
  • DES(債務の株式化)特例: 社長が会社に貸し付けているお金(役員借入金)などを資本金に振り替える場合、帳簿価額を超えなければ調査不要。

4. 現物出資された財産の設立後の扱い

会社設立時に現物出資された財産は、設立が完了した瞬間から「完全に会社の所有物」となり、以下のように処理されます。

  • 会計処理: 出資された財産の時価を各勘定科目(車両運搬具、工具器具備品など)に計上し、相手勘定を「資本金」とします。
  • 減価償却: 償却資産であれば、設立後は通常の購入資産と同じように減価償却を行い、法人の経費(損金)に落とせます。中古品を出資した場合は「中古資産の耐用年数(簡便法)」を使って償却期間を短縮可能です。
  • 名義変更: 自動車の移転登録や、不動産の所有権移転登記など、個人から法人への名義変更手続きを速やかに行う必要があります。
  • 不足額の補填責任(会社法52条): 設立後、出資された財産の実際の価値が定款に記載された価額に著しく不足する場合、発起人および設立時取締役は、足りない差額を会社に対して連帯して現金で支払う義務(無過失責任)を負います。

まとめ:定款記載は「絶対マスト」

変態設立事項は、定款に記載(または記録)しなければ、その約束は法律上「完全に無効」になります。発起人同士でどれだけ合意していても、会社に対して効力を主張することは一切できません。

実務で現物出資等を行う際は、「必ず定款に詳細を明記すること」、そして「500万円以下の免除規定に収める、または専門家の証明を利用して検査役をスキップすること」の2点が極めて重要です。

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会社法における「株券発行会社」と「株券不発行会社」の違い・整理

2026年5月21日 by super-admin

会社法において、株券を発行する会社(株券発行会社)と発行しない会社(株券不発行会社)では、株式の譲渡方法や、株主としての権利を会社・第三者に主張するための要件(対抗要件)などが大きく異なります。

現代の日本においては「株券不発行」が原則(デフォルト)であり、定款に「当会社の株式については株券を発行する」という旨の定めを置いている会社のみが「株券発行会社」となります。

これら2つの違いを、実務上重要となる「譲渡手続き」「対抗要件」「担保設定(質入れ)」などの観点から整理しました。


1. 基本的なルールの比較一覧

項目株券発行会社株券不発行会社(原則)
原則・例外例外(定款に「株券を発行する」旨の定めが必要)原則(定款に別段の定めがなければ不発行)
株式の譲渡方法株券の交付が絶対条件(交付がなければ譲渡の効力自体が発生しない)当事者間の合意(意思表示)のみで成立
会社に対する対抗要件株主名簿の書換え株主名簿の書換え
第三者に対する対抗要件株券の占有(持っていること)株主名簿の書換え
株主権利の行使(権利行使)会社に株券を提示して請求する(※名簿未書換の場合)株主名簿の記載に基づいて請求する

2. 譲渡手続きと対抗要件の詳細

実務上、最もトラブルになりやすく明確に区別すべきなのが「譲渡の成立」と「対抗要件(権利の主張)」の関係です。

① 株式の譲渡方法

  • 株券発行会社:
    当事者間で「譲渡します」と合意するだけでは不十分です。実際に株券を相手に引き渡す(交付)ことによって初めて、譲渡の効力が発生します(会社法128条1項)。
  • 株券不発行会社:
    株券が存在しないため、当事者間の口頭や書面による合意(意思表示)だけで譲渡の効力が発生します。

② 会社に対する対抗要件(株主権利の主張)

どちらの会社であっても、自分が株主であることを会社に認めさせ、配当金や議決権を得るためには、株主名簿の書換え(名義書換)が必要です(会社法130条1項、2項)。

③ 第三者に対する対抗要件(二重譲渡などの防衛)

  • 株券発行会社:
    株券を占有(所持)していることが第三者への対抗要件となります。もし会社が株主名簿を書き換えていなくても、株券を持っていれば「自分が株主だ」と第三者に主張できます。
  • 株券不発行会社:
    株券がないため、株主名簿の書換えが「会社に対する対抗要件」と「第三者に対する対抗要件」の双方を兼ねることになります。

3. 株式の質入れ(担保設定)の違い

融資を受ける際などに株式を担保に入れる「質入れ」の手続きも異なります。

  • 株券発行会社(略式質・登録質):
    質権(担保権)を設定するには、株券の交付が必須です。
  • 略式質: 株券を継続して占有することで第三者に対抗。
  • 登録質: 株主名簿に質権者として登録することで会社・第三者に対抗。
  • 株券不発行会社:
    合意によって質権は成立しますが、会社や第三者に対抗するためには、株主名簿に質権者の氏名・住所を記載(登録)する必要があります。

4. 実務上の注意点:株券発行会社での「株券不所持」

株券発行会社であっても、株主が会社に対して「株券を発行しないでほしい」と申し出ることができる「株券不所持制度」(会社法217条)があります。

この場合、会社は株券を発行せず、株主名簿に「株券不所持」の旨を記載します。一見すると「株券不発行会社」と同じ状態に見えますが、法的な建付けはあくまで「株券発行会社」です。

そのため、この不所持状態の株式を譲渡する場合は、原則として会社に「株券の発行」を請求して現物を受け取ってから、それを相手方に交付しなければ譲渡の効力が生じない点に注意が必要です(実務上のトラブルになりやすいポイントです)。

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会社法における社債の関係者:4つのグループ

2026年5月21日 by super-admin

会社法において、社債の発行から償還(返済)に至るプロセスに関わる主な関係者は、主に以下の4グループに分類されます。

  1. 発行体(会社)
  • 社債発行会社: 資金調達のために社債を発行する当事者(株式会社など)。
  1. 投資家
  • 社債権者: 社債を購入し、会社に対して利息や元本の弁済を受ける権利を持つ外部の「債権者」。
  • 社債権者集会: 社債権者全体の利害に関わる重大事項を多数決で決める法定の合議体。
  1. 管理・実務の受託機関
  • 社債管理会社: 社債権者のために弁済の受領や債権の保全などを行う金融機関。
  • 社債管理補助者: 令和元年改正で新設された、社債管理会社よりライトな権限を持つ「準・番人」。
  • 社債事務取扱会社: 元利金の支払事務や社債原簿の管理などのペーパーワークを代行する民間業者。
  1. 振替機関(インフラ)
  • 社債等振替機関: ペーパーレス化された社債の口座簿管理を行う外部法人(ほふりなど)。

法律的な位置づけ:彼らは「会社の機関」ではない

これらに関わる組織や人は、株主総会や取締役のような「会社の機関(内部組織)」ではありません。

法律(会社法・民法)の視点から見ると、彼らの正体は以下の通りです。

  • 契約の相手方・外部の独立した第三者: 会社と「お金の貸し借り」や「実務の委託」の契約を結んでいる外側の存在です。
  • 集団調整のための法的ルール: 投資家が大人数になるため、会社法が「代表して動く人(管理会社)」や「多数決で決める場(集会)」という特別ルールを外部にデザインしています。

社債管理会社は「どっちの味方」か?

結論から言うと、完全に「社債権者(投資家)の味方」です。

会社から報酬をもらって契約しますが、会社法により厳しい義務と権限が与えられています。

会社法第704条(誠実義務)
社債管理会社は、社債権者のために、公平かつ誠実に社債の管理を行い、善良な管理者の注意(善管注意義務)をもって社債の管理をしなければならない。

会社がデフォルト(債務不履行)を起こした際には、投資家から個別に許可を得ることなく、管理会社の単独判断で会社を相手に裁判を起こす強力な権限(包括的代理権)を持っています。


「社債管理会社」と「社債管理補助者」の違い

よく混同される「社債管理補助者」と「事務取扱会社」ですが、その法的責任の重さは全く異なります。

  • 事務取扱会社: 完全に単なる「事務屋(外注業者)」です。投資家を保護する義務はありません。
  • 社債管理補助者: 責任が重すぎて引き受け手の減った社債管理会社の「ライト版」として新設されました。普段の業務はモニタリング中心ですが、法律上の誠実義務を負っており、単なる事務屋ではありません。

両者の決定的な違い

項目社債管理会社社債管理補助者
キャラクター全権を握る強い番人投資家の意向を聞いて動くサポーター
単独での訴訟提起できる(即座に裁判可能)できない(原則として社債権者集会の決議が必要)
主な役割包括的な権利行使・実務管理状況のモニタリング・投資家への報告
設置原則として義務完全に任意(管理会社を置かない場合)

社債権者集会の主要ルール

社債権者集会は、バラバラである投資家の意思を多数決で一つにまとめ、全員を強制的に縛るための強力な仕組みです。

1. どんなときに開かれるか(決議事項)

主に「利息の引き下げ」や「返済期限の猶予」など、投資家に大ダメージがある条件変更や、会社が倒産しそうなとき、または補助者に訴訟のゴーサインを出すときに開かれます。

2. 誰が招集できるか

  • 発行会社
  • 社債管理会社 / 社債管理補助者
  • 総額の10分の1以上の社債を持つ社債権者(会社に拒否された場合は裁判所の許可を得て招集可能)

3. どうやって決めるか(決議のハードル)

  • 通常の決議: 出席した社債権者の過半数の同意
  • 特別の決議: (利息カットなど重い案件)社債総額の3分の1以上の保有者が出席し、その出席者の3分の2以上の同意

4. 決議のあとのルール(絶対服従)

集会で決まった内容は、多数派の暴走を防ぐために裁判所の認可を得て初めて有効になります。
認可が下りると、集会を欠席した人や、反対票を投じた人に対しても「全員一律」で強制適用されます。

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